視覚障害者の外出、新興企業が後押し 靴やスマホが道案内 支援技術で新市場

アシラセの歩行ナビ「あしらせ」を靴に装着した歩行者(同社提供)
アシラセの歩行ナビ「あしらせ」を靴に装着した歩行者(同社提供)

デジタル技術を活用して視覚障害者の外出を支援するサービスの開発が活発化してきた。ホンダ発スタートアップ(新興企業)のAshirase(アシラセ、宇都宮市)は来年1月にも足への振動で誘導するサービスを始める。スマートフォンの位置情報と音声案内を組み合わせたサービスを開発する東大発スタートアップも登場。市場創出の様相を見せている。

アシラセは、目にまつわる課題の解決に特化してきたスタートアップで、靴に装着する器具の振動とスマホアプリで単独歩行を支援する歩行ナビ「あしらせ」を開発した。行き先を設定すると、左に曲がるときは左足の外側に取り付けた器具が振動。曲がり角に近づくとテンポが変わり、その間隔が短くなるといった具合だ。

実証実験の結果分析などに時間を要したため、当初予定していた10月からのサービス開始には間に合わなかったが、今月に入って一般消費者向けと企業向けに提供する態勢にめどが立った。年明けに向け料金など詳細を詰めている。千野歩代表取締役CEO(最高経営責任者)は「事業を加速させ、早期に歩行ナビを広め、視覚障害者の外出を便利にする」と力を込める。

現実空間とデジタルコンテンツを重ね合わせて表示し、融合させるMR(複合現実)技術を視覚障害者向けの支援サービスに応用する動きもある。スタートアップのGATARI(ガタリ、東京都千代田区)だ。

同社は、MRプラットフォーム「Auris(オーリス)」を駆使して娯楽や観光といった分野で実績を上げてきたが、これを活用。オーリスは、地図情報が入っていればスマホ画面上の現実の道に矢印を表示するといったことなどを可能にする。この仕組みを利用し、事前にアプリに行き先の施設の情報を入力。視覚障害者が、施設の中でスマホのカメラを空中にかざすと位置情報を取得し、体の向きや対象物との距離に応じて音声案内を流すようにした。

現在、商用化に向け改良を重ねる。竹下俊一代表取締役は「視覚障害者にとってMR技術は必須」と話しており、娯楽・観光向け事業を継続しながら、新たな柱に育成していく考えだ。(松岡健夫)

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