高齢と持病ありが9割 波ごとで異なる死亡率 第8波は

高齢者施設でのオミクロン株対応ワクチン接種がスタート=9月、大阪市浪速区の介護老人保健施設さくらがわ(南雲都撮影)
高齢者施設でのオミクロン株対応ワクチン接種がスタート=9月、大阪市浪速区の介護老人保健施設さくらがわ(南雲都撮影)

新型コロナウイルスの流行「第8波」が懸念される中、高齢者と持病がある人への感染対策が重要になっている。東京都の調査では、約1300人が死亡した夏の第7波では70代以上と持病がある人の割合がそれぞれ約9割を占めた。死亡率は波ごとに低下傾向にあるが、持病や全身状態の悪化で死に至るケースが多いという。現場の医師は、高リスク者を感染から守るため「高齢者や持病がある人の家族にしっかりとワクチンを打ってもらうことが大事」と指摘する。

「(年明けの)第6波では肺炎で亡くなる人が激減した。第6波から(夏の)第7波にかけてさらに減っている」。国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は、コロナ患者の病状に昨年までと大きな違いがあると指摘。コロナで重度のウイルス性肺炎となるケースは減り、第7波ではより顕著になったという。

都の調査によると、オミクロン株が流行した第7波は7~9月の3カ月間で1342人が死亡した。一方で、デルタ株による昨夏の第5波での死者は3カ月間で837人。「新型コロナ以外」の死因で亡くなったのは、第5波で6・0%だったが、第7波では29・5%に上った。

第7波では感染者数が大幅に増えたことに伴って死者数が大きく増えたものの、死亡率は第5波の0・414%から第7波で0・091%まで低下した。年明けの第6波では1~3月に1203人が亡くなり、死亡率は0・143%だった。

大曲氏はオミクロン株への置き換わりに加え、ワクチン接種が状況を変化させたとみている。さらに、第6波と第7波の違いは追加接種の進展で「肺炎で亡くなるリスクが下がり、おそらく肺炎以外の要因で亡くなるリスクも少しは下がっていると思う」と述べた。

デジタル庁によると、都内ではワクチンの3回目接種は1月から急速に進展。1日当たりの接種回数は3月にピークを迎えて15万回を超えた。4回目は6月下旬に本格化し7月下旬に1日で8万回超となった。接種率は3回目が6割超、4回目は3割超となっている。

3回目は第6波、4回目は第7波の感染拡大に合わせて進んだ。現状は12歳以上の追加接種でオミクロン株の派生型「BA・1」や「BA・5」に対応したワクチンを打つことができる。今月17日のモニタリング会議では「第8波の入り口に差し掛かっているとも考えられる」との指摘も出ており、「先手の対策」として接種拡大が欠かせない状況となっている。

現状の流行株は第7波と同様にオミクロン株で、「死者は前提として高齢者が多く、進行したがん患者や心臓、腎臓が悪い患者は元々の持病の悪化が本当に速く、それで亡くなる」(大曲氏)という第7波の傾向が継続する可能性がある。

今冬はインフルエンザとの同時流行も懸念され、医療機関への負荷が高まる恐れがある。大曲氏は介護施設や病院では早期診断・治療で感染の連鎖を食い止める必要性を強調。「家庭内では(高リスク者の)家族ができることをがんばってもらう。ワクチンで備えがきくのは非常に大事だ」と述べた。

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