車内置き去り防止に企業が最新技術 村田製作所など

AIがカメラ映像から園児を検知する様子(インテリジェンス デザイン提供)

通園バスや乗用車に子供が置き去りにされる事故を防ごうと、機械メーカーなどが自社の技術を活用した置き去り防止装置の開発を急いでいる。人工知能(AI)による画像認識を活用するなど手法は多岐にわたる。来年4月からは通園バスにブザーなどの安全装置の設置が義務化される予定で、各地で実証実験も進んでいる。

AIによる画像解析などに強みを持つ「インテリジェンス デザイン」(東京都渋谷区)は、カメラ映像をAIで解析することで置き去りを防止する装置を開発している。10月から神奈川県厚木市の厚木田園幼稚園で始まった実証実験では通園バス後部にカメラと通信機を設置。取り残された園児がカメラに映るとAIが検知し、自動で園の担当者にメールが送信される仕組みになっている。市販のカメラを採用することで費用を安く抑えられるといい、来年4月の製品化を目指す。同社の担当者は「わが社の技術で悲惨な事故を防ぐ手助けになれば」と意気込む。

村田製作所は、カメラの課題である死角に対応した製品の開発を進める。今月8日、福岡市の那珂幼稚園で、無線LAN「Wi―Fi(ワイファイ)」を使った実験を始めた。電波を送受信する2台の機器をバスの前方と後方に設置する。園児のわずかな動きや呼吸で、電波の反射の仕方が変わるため、園児の存在を検知できるといい、カメラには映らない死角にも対応できることが期待されている。実証実験は来年3月末までの予定で、検知精度のほか、取り残されている園児を検知した際の園側への最適な通知方法などを検討する。

今年9月、静岡県内の認定こども園の通園バスに3歳女児が置き去りにされて亡くなった事故を受けて、1カ月足らずで製品発売にこぎつけた企業もある。大阪市の車載部品メーカー「TCI」は10月、AI搭載のカメラと警報ブザーを組み合わせたシステムを発売。エンジンを切った後に天井のカメラが人を感知すると、車外のブザーが鳴る。すでに300件以上の問い合わせがあるという。

政府は来年4月の安全装置義務化に関し、全国の幼稚園や保育園などの通園バス約4万4千台を対象に設置費用として1台当たり18万円を補助する方針を示している。TCIの担当者は「できるだけ価格を抑え、どこの施設でも導入できるようにしていきたい」としている。(桑島浩任)

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