7~9月期の実質国内総生産(GDP)は前期に比べるとマイナス成長になった。メディアの多くが景気悪化を喧伝(けんでん)し、「悪い円安」論をふりかざす。だが、実際は逆である。円安は日本経済再生の追い風となり始めている。
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グラフはGDPの主要項目である民間企業設備投資と家計消費の名目値について、令和2年10~12月期を100とする指数に置き換えて趨勢(すうせい)が見やすいようにし、円ドル相場と対照させている。設備投資はほぼ一貫して円安とともに上昇している。新型コロナウイルス感染拡大による影響で低調だった家計消費は昨年10~12月期以降上向いている。消費者物価の上昇は万人を苦しめるが、家計は物価高の逆風に耐えている。設備投資に加え、賃上げが進むようになれば、消費は着実に拡大し、経済はしっかりとした拡大軌道に乗るだろう。今はそうなるかどうかの正念場なのだ。