サッカーW杯 ABEMAが全64試合無料配信 民放3局は撤退

20日に開幕するサッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会はNHKが21試合、テレビ朝日系列とフジテレビ系列がそれぞれ10試合を放送する。2002年日韓大会以降、NHKと在京キー局が抽選で全64試合の放映試合を決めてきたが、今大会は民放3局が撤退。大会を通してテレビで楽しむことができなくなった。列島を熱狂させた日韓大会では、1次リーグの日本-ロシア戦が平均世帯視聴率66・1%を記録。かつて「ドル箱」だった日本代表戦も、放映権料の高騰で様相が変わりつつある。

一方、今大会はサイバーエージェントとテレビ朝日が出資して運営するインターネット放送「ABEMA(アベマ)」が全64試合を無料配信する。生中継に加えて見逃し配信も実施。パソコンやスマートフォン、タブレット端末があれば、いつでもどこでも観戦できることになった。

18年ロシア大会では、NHKがスマホ向けのアプリを展開。タップするだけで別視点からの映像を確認できたり、走行距離など試合ごとのデータを参照できたりと、ライト層からマニアまで垂涎(すいぜん)の「神アプリ」として話題になった。W杯の楽しみ方は大きく変わってきている。

アジア最終予選では、アウェー戦が有料映像配信サービス「DAZN(ダゾーン)」でしか視聴できず、一部で物議を醸した。アベマの英断に胸をなでおろしたファンも多いが、ボクシングの世界戦も含めテレビからインターネット放送への移行はスポーツ界全体に広がってきている。(大石豊佳)

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