米中間選挙

バイデン氏、対峙の下院共和に秋波

17日、米ワシントンのホワイトハウスに外遊から戻ったバイデン大統領(ゲッティ=共同)
17日、米ワシントンのホワイトハウスに外遊から戻ったバイデン大統領(ゲッティ=共同)

【ワシントン=坂本一之】バイデン米大統領は今後の政権運営を巡り、米中間選挙で下院多数派となった共和党と対峙(たいじ)することになる。バイデン氏は早速、薄氷の勝利で下院を制した共和党幹部に対し、政策協力に向けた秋波を送った。一方、共和党では2024年大統領選への出馬を表明したトランプ前大統領と執行部との亀裂は深く、党内対立で多数派の利点を生かせるかは未知数だ。

バイデン氏は16日、共和党勝利のニュースが流れると、次期下院議長選・共和党候補のマッカーシー院内総務を「祝福する」とツイッターに書き込んだ。国民のために「協力する用意がある」と表明し、政策協力への手を先に差し出した。

バイデン氏は1兆ドル(約140兆円)規模のインフラ投資法などを成立させて経済の立て直しを図ってきたが、大規模な財政支出に反対の共和党が下院を握り、今後は経済対策を素早く実施することが困難となる。

さらに、人工妊娠中絶を巡る対応も難しくなる。選挙戦では、民主党が両院多数派を維持できれば中絶の権利を保護する法案を成立させると訴え、善戦したものの、下院共和党の反対により支持者の失望を招く恐れもある。

支持者の不安を打ち消すかのように、民主党のペロシ下院議長は16日の声明で「下院民主党はバイデン氏の課題(への取り組み)を支える」と訴え、結束をアピールした。バイデン氏や民主党は、共和党執行部を巻き込んで政策を実行できるかが問われる。

一方、バイデン政権に立ち向かう共和党の息は荒い。マッカーシー氏は下院奪還を受け「民主党の一党支配は終わった」とツイッターで強調した。

「国民は国が新しい方向に進むのを望んでおり、下院共和党は結果を出す準備ができている」とも述べ、バイデン政権の政策を転換する考えを示した。

ただ、共和党では中間選挙低迷の責任を巡り、トランプ氏や同派議員と、党執行部との間でさや当てが始まっている。上院共和党は16日にトップのマコネル院内総務の再任を決めたが、トランプ氏と対立関係にあり、今回の選挙で責任の押し付け合いに発展している。

中間選挙の出口調査でトランプ氏を「好ましくない」とした人が58%に達し、同氏の影響力低下を指摘する声も出始めた。これに乗じて勢力拡大を狙う党執行部側と、トランプ氏側との覇権争いになる可能性もある。

米政治評論家は「共和党内の意見対立で党幹部がうまく議会運営をできない可能性がある」と警告する。

トランプ氏と党執行部の双方は24年大統領選に向け支持拡大につながる政策を打ち出すことが欠かせない。内紛に明け暮れれば、共倒れとなる運命にある。

会員限定記事会員サービス詳細