日本ハム新球場のファウルゾーン問題、改修計画にSNSで賛否 大リーグでは「近さ」売りに

バックネット裏から見た、「エスコンフィールド北海道」の全景=北海道北広島市(撮影・三浦幸太郎)
バックネット裏から見た、「エスコンフィールド北海道」の全景=北海道北広島市(撮影・三浦幸太郎)

日本ハムの新球場「エスコンフィールド北海道」でファウルゾーンが狭く、公認野球規則の規定を満たしていなかった問題で、2023年、24年のシーズンオフを利用して規則に沿う形で改修する計画案を日本ハムが示したことに、SNSで賛否両論が巻き起こっている。今回は日本ハムが手続き上の不備を認めたことから来季の使用が許可されたが、米大リーグ(MLB)の球場では近年、本塁からバックネットまでの距離は規定よりも短くなっているケースが増加。規定の見直しの有無も含めて、今後も議論の余地がありそうだ。

米国の設計会社が建設に参画

エスコンフィールド北海道は、MLBで数々の球場建設を手掛けた米国の設計会社「HKS」が建設に参画。MLBの球場を思わせる臨場感が特徴の一つで、来シーズンに開場を控えている。公認野球規則では、本塁からバックネットのフェンスまで60フィート(約18メートル)以上が必要とされているが、エスコンフィールド北海道は50フィート(約15メートル)しかないことが判明。球団では対応を協議していた。

14日に行われた臨時の12球団代表者会議では、日本ハムの川村浩二球団社長が日本野球機構(NPB)への確認などが不十分だったことなどを謝罪した上で、新球場の改修計画を提示。ほかの11球団も改修計画の方針を確認し、来季は現行の球場のままで使用を認めることで意見が一致したという。

エスコンフィールド北海道の三塁側エントランスからの全景=北海道北広島市(撮影・三浦幸太郎)
エスコンフィールド北海道の三塁側エントランスからの全景=北海道北広島市(撮影・三浦幸太郎)

今回の決定を受け、ツイッターでは「他の11球団の球場は規定内なのに1球団の球場だけを認めたら、他の11球団に示しがつかない」「規定より(距離を)近くするなら、設計段階でNPBや11球団の了承を取らないといけない」と改修計画に理解を示す声がある一方、「ルールを見直すくらいの動きがあってもいいかと思っていたが、落としどころもきわめて日本的。ファン優先の発想は見えない」「(ファンにとって)わざわざ『見にくい』方へ改修させるという、何のためのルールなのか」と改修計画に懐疑的な意見もあった。

レンジャーズ本拠地は13メートル

MLBの公認野球規則では、本塁からバックネットのフェンスまでの距離について、60フィート以上を「推奨する(recommend)」と記述しており、「必要」と記述しているプロ野球の公認野球規則とはニュアンスが異なる。大リーグ評論家の福島良一さんは「大リーグで近年建設されている球場は臨場感を重視し、本塁からバックネットまでの距離を短くすることを〝売り〟にしている。マイナーリーグの球場も同じ傾向になっている」と指摘する。

レンジャーズの本拠地グローブライフ・フィールド=アーリントン(USAトゥデー・ロイター=共同)
レンジャーズの本拠地グローブライフ・フィールド=アーリントン(USAトゥデー・ロイター=共同)

2020年に新設されたレンジャーズの本拠地・グローブライフ・フィールドはMLB初の黒人選手、ジャッキー・ロビンソンの背番号にちなみ、42フィート(約13メートル)に設定。福島さんによると、ドジャースの本拠地・ドジャースタジアムも20年の改修後には75フィート(約22・5メートル)から55フィート(約16・5メートル)に距離を近づけたという。

福島さんは「本塁からバックネットまでの距離をめぐり、MLBで問題視されたことは聞いたことがない」と話している。(浅野英介)

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