公正取引委員会は16日、新聞社やテレビ局などの報道機関から提供を受け、まとめサイトなどを運営するニュース配信プラットフォーマーの取引実態調査を開始すると発表した。報道機関に適正な対価が支払われているか、サイト内の記事の表示順位が適切であるかなど、取引構造や実態を明らかにする。独占禁止法上の問題があれば、来年をめどにまとめる報告書で、是正を求める提言を行う。
公取委によると、日本新聞協会に加盟する新聞社や通信社、日本民間放送連盟に加盟するテレビ放送事業者など計約300社にアンケートを実施。プラットフォーマーに対してもヒアリング調査を検討している。
報道機関はヤフーニュースなど、ニュースまとめサイトを運営するプラットフォーマーに有償で記事を提供している。ただ、以前から使用料が低いとの指摘は多い。公取委が令和3年2月に公表したインターネット広告などに関する報告書でも、「使用料の算定基準を明確化することが望ましい」との考えを示していたが、改善がみられなかったとして、より詳細な調査に踏み切った。
近年、ニュースまとめサイトから情報を得る人は増えているが、強い影響力を背景に適切な取引が行われていなければ、優越的地位の乱用に当たる可能性がある。報道各社の経営を圧迫し、ニュースの質の低下も懸念され、公取委の小林渉事務総長は「ニュースが国民に適切に提供されることは民主主義の発展において必要不可欠だ」と話した。(浅上あゆみ)