猫の手触り再現した寝具、初日完売のヒット商品に

猫の触り心地に徹底してこだわった「猫フィール」の毛布(ニッセン提供)
猫の触り心地に徹底してこだわった「猫フィール」の毛布(ニッセン提供)

「『ねこすきねこずっとさわってたい』という社員の熱い想いが炸裂(さくれつ)し、ねこの触り心地等を再現して商品化してしまうという、傍からみると『やべえな』という企画が通りました」-。ファッション通販のニッセン(京都市)が公式ツイッターでこう宣伝した寝具の新商品「猫フィール」が販売開始日に完売し、話題を呼んでいる。「猫をなでている手触り」をひたすら追求した結果、予想以上のヒットとなった新商品。企画したのは入社1年目の猫好き社員だった。

生産体制見直し

「猫フィール」は、肌ざわりの心地よさにこだわった寝具シリーズの今冬の新作として10月19日に販売をスタート。毛布(税別3990円~)、敷きパッド(同2990円~)、ブランケット(同1790円)、クッション(同2990円)の4種類で、グレー系の「ロシアンブルー」とベージュ系の「スコティッシュフォールド」の2色展開だ。初日で全商品が完売し、約2週間後に予約受付を再開するも、5時間ほどで全商品の予約販売を一時的に終了せざるを得ない状況に追い込まれた。

「猫フィール」のクッション。直径約90センチで、愛猫と一緒に座れる(ニッセン提供)
「猫フィール」のクッション。直径約90センチで、愛猫と一緒に座れる(ニッセン提供)

一定の販売を見込んでいた同社は、十分な在庫を準備していたという。ただ、冒頭の公式ツイッターの拡散効果が「想定を上回るものだった」(広報)といい、急遽生産体制を見直す事態に。現在は「入荷お知らせメール」を登録すれば、再開時に通知する対応を取っている。

開発1年がかり

開発のきっかけは昨年12月に行われた冬商材の企画会議。入社1年目だった長野初美さんが「猫を触っていると癒されるんですが、今は飼える状況じゃない。猫カフェに通っても、猫ちゃんはなかなか触らせてくれない」と吐露。「同じような状況の人や、アレルギーで触れない人も存分に猫の触り心地を感じられる商品があれば」と提案した。

商品本部の佐久間悠部長は「提案者の熱意がとても強くて、視点もブランドコンセプトに合っていた」と採用。猫の触り心地の再現に徹底してこだわろうと、商品開発を進めた。

さまざまな素材の加工法などを確認して試作を繰り返し、猫を飼っている10人ほどの部員が厳しくチェック。「触り心地がよくても、『猫じゃない』なら意味がない」を徹底した。佐久間部長も猫カフェに通い詰め、なかなか触らせてくれない猫の習性を学ぶとともに、触り心地やぬくもりを何度も確かめたという。

1年がかりでようやく再現にこぎつけた「猫の触り心地」。長野さんは「提案したときは、まさか商品化されるとは思っていなかった」と明かし、「ここまで本気で取り組んでもらい、猫の手触りを作り出せたことは二重の驚きです。猫をずっとなでていたい、という自分と同じ思いの方々にも満足していただけるとうれしい」。同社は来春、猫種やアイテムの種類を増やした新商品の販売を予定しているという。

経済効果「ネコノミクス」は1.9兆円

一般社団法人「ペットフード協会」によると、令和3年の犬・猫の推計飼育頭数は約1600万頭。うち犬は約710万頭で減少傾向にあるが、猫は約890万頭で緩やかに増加している。また、「生活に喜びを与えてくれる存在」の質問で、犬飼育者のトップは「家族」(32・3%)で「ペット」は27・5%と次点だったが、猫飼育者は1位が「ペット」(28・6%)、2位が「家族」(26・4%)だった。

猫が生み出す経済効果「ネコノミクス」は今年、約1兆9690億円に上るとの推計もあり、猫をめぐる市場は拡大中。生活環境などから猫を飼いたくても飼えない人を対象とした商品も続々と販売されており、猫の心音や喉を鳴らす「ゴロゴロ」音まで再現したクッションなども登場している。

ニッセンオンラインでも、「犬(イヌ)」検索でヒットする商品が約130点なのに対し、「猫(ネコ)」は290点以上。同社広報担当の山本久美子さんは「猫は犬と違い、自分の飼い猫であってもいつでも撫でさせてくれるわけではないせいか、愛猫家の方が熱量が高いように感じます」と話していた。


会員限定記事会員サービス詳細