世界的な評価を得た韓国映画「パラサイト 半地下の家族」で、貧困の象徴として描かれた安アパート。雑誌編集者の女性、黄昭延(ファン・ソヨン)(31)は中学1年生の時、家族と同じような家に移り住んだ。父は多くを語らなかったが、1997年に韓国を襲い、大量の失業者を出したアジア通貨危機の影響は明らかだった。
奨学金を借りてソウル市内の大学を卒業し、現在は家族ともども、経済的に安定した生活を送る。ただ、交際相手との結婚や出産を考えたことは一度もない。「自分の努力とは無関係の理由で、家計は突然維持できなくなる」。中1の時にそう悟ったためだ。
韓国では、女性1人が生涯に産む子供の推定人数を示す「合計特殊出生率」が6年連続で過去最低を更新し、2021年には「0・81」を記録。人口維持に必要とされる2・07とかけ離れ、「超少子化」状態に近いと定義される日本の1・30(同年)をも大きく下回る。ソウル大教授で人口政策研究センター長を務める曺永台(チョ・ヨンテ)は「(韓国人が)絶滅危惧種といっても過言ではない」と警鐘を鳴らす。