「卒業後に引退」は惜しい! 弁舌巧みな早大フェンサー川村京太

全日本選手権個人戦フルーレ男子を制し、雄たけびを上げる川村京太©日本フェンシング協会
全日本選手権個人戦フルーレ男子を制し、雄たけびを上げる川村京太©日本フェンシング協会

試合内容や結果以上に、試合後の受け答えが印象的だった。5日に決勝が行われたフェンシングの全日本選手権個人戦で、フルーレ男子を制したのは早大4年の川村京太。「10回くらいやって、勝ったことは1度しかなかった」という昨夏の東京五輪代表で前回覇者の永野雄大(ネクサス)を15-7で下し、初の日本一に輝いた。

「まったく予想していなかった。作戦がはまりすぎた」。快勝をそう振り返った川村だが、その作戦の説明は実に分かりやすかった。序盤、徹底して狙ったのは永野の右肘の下。胴体のみが有効面となるフルーレの場合、剣を持つ手と逆側を攻めるのが定石だというが、「簡単なラインだと(カウンター攻撃が)返ってくる」とあえて防御の堅い利き手側を中心に攻め、意表を突いた。狙いは的中し、8-1と大きくリードを奪って試合を優位に進めた。

男子フルーレ決勝で優勝を決め、雄たけびを上げる川村京太=LINE CUBE SHIBUYA
男子フルーレ決勝で優勝を決め、雄たけびを上げる川村京太=LINE CUBE SHIBUYA

また「距離の歯車を壊しにいく」と徹底的に足を使い、不規則な動きで永野を惑わせた。リードされた状態で照準が合わせにくくなれば、相手は「(攻撃には)よくない距離でもアタックしてくる」との確信があったからだ。実際、川村は積極的に前に出てきた永野の攻撃をかいくぐり、着実にポイントを重ねて逃げ切った。戦術の立案には早大のチームメートらの協力もあったという。9月に準決勝までを行い、決勝までの準備に2カ月近く当てられるという大会の特性を最大限に生かした。

それにしても、である。理路整然とした説明、大胆な戦術、それを大舞台で堂々と遂行する冷静さを目の当たりにすると、とても学生とは思えない。川村自身は「よく『飄々としている』といわれる」という。その姿を見て、14年前に取材した同じ種目の〝レジェンド〟を思い出した。

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