〈特報〉ポルシェ独占、本気のスパイク体験…ふるさと納税、ユニーク返礼品の最新事情

公式戦でスパイクを放つ東レアローズのパダル・クリスティアン選手。プロの強打を受け止められるか-(東レアローズ提供)
公式戦でスパイクを放つ東レアローズのパダル・クリスティアン選手。プロの強打を受け止められるか-(東レアローズ提供)

ふるさと納税の返礼品といえば、地場の高級食材が主流だが、最近は地域連携の体験型が増えている。専用コースを貸し切って高級車の性能を試したり、バレーボール選手のスパイクをレシーブしたりするなど「非日常」を体感できるのが売りだ。一方、地場産品として疑義が生じる返礼品が目立ち、総務省はルールの厳格化を検討する。拡大を続けるふるさと納税の最新事情を探った。

本気のスパイク

静岡県三島市は10月、地元を拠点とするバレーボールVリーグ男子の東レアローズなどと連携し、体験型返礼品を用意した。12月初旬のホームでの試合観戦と市内に宿泊するプラン(寄付額6万7千円)で、目玉はプロ選手が放つ強烈なスパイクのレシーブ体験だ。申し込み開始からわずか45分で定員12人に達した。

寄付者は試合観戦後、指名した選手から鋭角に放たれる時速100キロ超のスパイクをコートでレシーブする。試合と同様に本気のスパイクを浴びるか、手加減してもらうか、その強弱を選択し、自分の体に当たるまで挑戦できる。篠田歩監督は「公式戦のコートでプロ選手のスパイクを受けるのは貴重な体験。痛打して内出血したくなければ弱めが望ましいかな…」と助言する。

ドリフト走行も

高級車のハンドルを握り、専用コースを疾走することができる返礼品を追加したのは千葉県木更津市。市内にあるドイツの高級車メーカー、ポルシェの体験施設「ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京」を1日貸し切るプランだ。

1日貸し切ることができるポルシェ・エクスペリエンスセンター東京の専用コース=千葉県木更津市(ポルシェジャパン提供)
1日貸し切ることができるポルシェ・エクスペリエンスセンター東京の専用コース=千葉県木更津市(ポルシェジャパン提供)

施設内の周回コース(全長2・1キロ)でお目当てのポルシェに試乗。公道ではなかなかできないドリフト走行やスピン制御などポルシェの性能を堪能できる。インストラクターが同乗し、走行時間は1回90分。返礼品には試乗体験20回分に、食事や飲み物代などが含まれている。

気になる寄付額は1700万円。市は結婚式など各種イベントでの利用を期待するが、高額なだけに10月末時点で「申し込みはない」(担当者)という。

選挙の洗礼を受けず行政のトップに-。ユニークなのが宮城県川崎町の返礼品「1日町長体験」だ。寄付額30万円。地域の魅力を知ってもらうために始めた。

 登庁時、職員総出で出迎えてもらい、議場で職員らにあいさつ、課長会議にも出席するなど公務を体験できる。新型コロナウイルス感染拡大で返礼品を受けていない寄付者が残っており、新規受け付けは来年度以降になるという。

グレーゾーン

一方、総務省は返礼品について「地場産品に限る」としたルールの厳格化を検討している。他地域産の肉を地域内で保存した「熟成肉」や地域外のコメを地域内で精米・ブレンドした「無洗米」-など、地場産品といえるか疑義がある、いわばグレーゾーンの返礼品が増えているからだ。

もともと、地場産品に限定しているのは、豪華な返礼品を呼び水とした寄付の獲得競争が過熱するのを防ぐ狙い。総務省は地場産品か疑わしいケースについて「現時点では違反ではないが、ルールが形骸化する恐れもある」と指摘する。(岡田浩明、高橋寛次)

ふるさと納税制度 応援したい自治体に寄付すれば、地場産品の返礼品がもらえ、税の控除が受けられる。税収減に悩む自治体にとって地方創生の財源となる。平成20年度から始まった。総務相時代に制度導入を主導した自民党の菅義偉前首相は、産経新聞の取材に「役所は当時、(導入に)大反対だったが、地方の首長から『職員の考え方が変わり、総意工夫ややる気が出てきた』という声を聞くと、うれしい」と話す。ふるさと納税サイト「ふるなび」によると、納税義務者(約6千万人)の約12%が寄付の経験があり、市場は今後も拡大傾向が続くとみている。物価高が続く最近は生活防衛の観点からトイレットペーパーなどの日用品や食品の返礼品を選ぶ傾向がみられるという。

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