第8波・同時流行懸念も接種伸び悩み 対策手詰まり

新型コロナウイルス感染症対策分科会の会合後、記者会見する尾身茂会長=11日午後、東京都千代田区
新型コロナウイルス感染症対策分科会の会合後、記者会見する尾身茂会長=11日午後、東京都千代田区

政府が新型コロナウイルスの流行「第8波」に対応するため、「対策強化宣言」を新設し、自治体がこれまでより強力な外出自粛要請などを出せるようにした背景には、新型インフルエンザとの同時流行への懸念がある。医療逼迫(ひっぱく)の回避は岸田文雄政権にとって最重要課題だからだ。ただ、オミクロン株対応のワクチン接種も伸び悩んでおり、対策に手詰まり感も見える。

政府の新型コロナ感染症対策分科会の尾身茂会長は11日の記者会見で、「緊急事態宣言や蔓延(まんえん)防止等重点措置を出さずに医療の機能不全を避けるべきだ」と述べ、行動制限を用いずに第8波を乗り切る姿勢を示した。

すでに、ピーク時には新型コロナとインフルエンザをあわせ、1日75万人の患者が発生するとの予測もある。直近1週間の新型コロナの全国の新規感染者数は前週比で1・4倍となっており、尾身氏は「新しい波に入りつつある」と指摘する。

政府が今回示した対策強化宣言は、第7波で用いた「BA・5対策強化宣言」を拡充した内容で、都道府県は重症化リスクの高低にかかわらず外出自粛要請などを出せるようになった。

年末にかけてクリスマスや忘年会など会合の機会が増えそうなこともあり、感染拡大が本格化する前に新たな対策を示す必要があると判断したためだ。あらゆる年代に呼び掛けることで、同時流行時に懸念される発熱外来の逼迫を避けたい考えだ。

ただ、緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置であれば営業時間の短縮要請などを行えたが、対策強化宣言や、さらに強力な「医療非常事態宣言」でも罰則のある行動制限は実施できない。合わせて、政府は新型コロナワクチン接種の体制整備も進めているが、接種率は低い水準にとどまっているのが実情だ。

与党内からは「過去最多の感染者数が見込まれる状況で、『帯に短したすきに長し』の内容だ」(閣僚経験者)と新たな宣言の実効性を問う声も上がっている。(竹之内秀介)

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