ソウル雑踏事故、サッカーワールドカップにも「余波」 韓国、街頭応援中止に

ソウル中心部の光化門広場(共同)
ソウル中心部の光化門広場(共同)

カタールで今月20日に開幕するサッカーワールドカップ(W杯)への出場を決めている韓国で、W杯期間中に予定されていたソウル市内での街頭応援が、10月29日に同市内の梨泰院(イテウォン)で発生した雑踏事故を受けて中止となった。過去のW杯では大勢のサポーターがソウル市内に集まり、選手に熱い声援を送る光景が〝名物〟だったが、雑踏事故がW杯の応援にも暗い影を落としている。

スポーツソウル(日本語版)によると、韓国サッカー協会(KFA)が4日、光化門広場の使用許可申請を取り消すための文書をソウル市に提出したと報道。「2018年ロシアW杯のように、今回もソウル市と光化門広場での街頭応援を事前に準備していた。ただ、深い議論の末、今大会で街頭応援を開催することは正しくないと判断した」とKFAの声明を紹介した上で、中止の理由について「梨泰院惨事(事故)が起きてから1カ月も経過していない時点で、同じ管内で街頭応援を行うことが国民感情に合わないと判断した」とする声明の内容を伝えた。

光化門広場はソウル市中心部にある広場で、イベントなどが開催されるスポットとして知られる。改修工事も終わり、今年8月にはリニューアルオープンした。スポーツソウルによれば、W杯の街頭応援はこれまで企業やスポンサーなど民間が主導となって企画していたが、ロシアW杯からKFAとソウル市が共同で主催するようになったという。韓国での街頭応援は「2002年日韓W杯から4年ごとに続いてきた韓国サッカーファン最大の祭典」(スポーツソウル)といった指摘もあるように、一大イベントと化していた。

今月1日には、韓国代表のエースFWのソン・フンミンが、所属するトッテナム(イングランド)での試合中に左目付近を負傷。一時はW杯出場が危ぶまれる事態にもなった。韓国のニュースサイト「マイデイリー」は「街頭応援はなし、ソン・フンミンは負傷…カタールW杯は悲しいニュースのみ」との見出しで特集記事を掲載するなど、危機感を募らせている。

「赤い悪魔」と呼ばれる韓国のサポーターは、大きな声を張り上げるなど熱狂的な応援スタイルが特徴。2013年に行われた東アジア杯の日本戦では「歴史を忘れた民族に未来はない」と書かれた巨大な横断幕を掲げて物議を醸したこともあった。しかし、今回のW杯は雑踏事故を受け、これまでとは異なる応援スタイルが韓国サポーターには求められそうだ。(浅野英介)

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