ロシア軍がウクライナ侵攻で掌握した唯一の州都で「象徴的な戦果」(米紙)とされる南部ヘルソン市を含むドニエプル川西岸からの撤退を決めた。ロシアにとっては、川より西方に位置する主要港湾都市オデッサなどの制圧断念を意味し、今後は自然の要害である大河で守備を固める。
ウクライナ軍の将官は今月、英BBC放送にヘルソン州のロシア軍は強力だと指摘。西岸を奪還したとしても、「川を越えて攻勢に出るのは、はるかに厳しい戦いになる」との見方を示した。全土奪回を唱えるウクライナ軍の進撃も今後、困難さを増しそうだ。
ウクライナ軍は9月に入って西岸地域の集落を次々と奪還。ロシア軍の統括司令官は10月18日、同州での苦境を認め、住民の退避も始まった。11月に入ると地元メディアが、ロシア軍車両がヘルソン市内で激減したとの証言を報道。ロシア国旗が撤去された行政庁舎の写真も出回り、部隊の州都撤退も時間の問題との観測が出ていた。(共同)