和歌山知事選に政界注目、二階vs世耕〝代理戦争〟に禍根

知事選立候補者の出陣式に出席した二階俊博氏(右)と世耕弘成氏(左)=和歌山市(前川康二撮影)
知事選立候補者の出陣式に出席した二階俊博氏(右)と世耕弘成氏(左)=和歌山市(前川康二撮影)

和歌山県知事選は10日、告示された。現在4期目の仁坂吉伸知事(72)が引退を表明する中、自民党内では後継候補擁立をめぐり、党元幹事長の二階俊博氏(83)と党参院幹事長の世耕弘成氏(60)が水面下で〝代理戦争〟を繰り広げた。最終的には二階氏側とされる元衆院議員の擁立で決着したが、選挙区定数が「10増10減」となる見通しの次期衆院選では、衆院へのくら替えを公言する世耕氏と二階氏の直接対決に影響するとの見方もあり、政界関係者の注目を集めている。

自民が今回の知事選で推薦するのは、元衆院議員の岸本周平氏(66)=立民、国民も推薦。元財務省官僚で、出身地の和歌山1区(和歌山市)で平成21年に民主(当時)から衆院選に立候補して以来、5回連続で自民候補を破り、保守層の支持も厚い。

今年6月に仁坂氏が引退を表明する前の5月、早々と知事選への立候補を表明した。関係者によると、すでに4年前の前回知事選直後から自民県連の重鎮が擁立に動き、二階氏の支援を取り付けていたとされる。

立候補の表明後、二階氏の地盤の県南部を精力的に回り、着々と支持を固める。

これに対し、世耕氏は、和歌山市出身で青森県総務部長の男性(43)擁立を画策した。

関係者によると、二階氏も出席した今年9月の自民県連会合で、世耕氏は男性の自己PR動画を上映し、自民の独自候補擁立をアピール。出席者の賛否は分かれたが、大勢が独自候補擁立論に傾いたことで二階氏も折れ、いったんは県連として男性擁立を決めた。

しかし、その後二階氏が巻き返した。

二階氏の意向が強く働くとされる県町村会が岸本氏の推薦を決定。出席者からは「首長の意見を聞く場もなく決めた」と世耕氏主導の対応に不満が漏れた。

さらに他の業界団体なども次々と岸本氏支援を表明する中、世耕氏は県連決定から10日後、「状況が変わった」として事実上、男性擁立の断念を表明した。

迎えた知事選の告示日。岸本氏の出陣式には二階氏と世耕氏も出席した。

二階氏は開始の約30分前から会場に到着し、支持者や党関係者と交流。応援演説では「岸本さんを推そうと一丸になったことをうれしく思う」と満足そうに話した。

一方、世耕氏は応援演説を終えると、来賓席の二階氏に一礼し、すぐに車に乗って会場を後にした。

2人の関係は表面上は落ち着いたように見えるが、対立は今後も激化するとする見方は根強い。

次期衆院選の選挙区定数は、和歌山では1減の2となり、二階氏が地盤とする県南部の和歌山3区は県北部の2区と統合される見通し。同じ県南部が地盤の世耕氏は次期衆院選に向け、すでに二階氏の出身地・御坊市などに新たに事務所を構え、直接対決の可能性もささやかれている。

県政界関係者は「今回は二階氏が貫録を見せた形だが、世耕氏も衆院へのくら替えをあきらめたとは思えない。2人の対立は水面下で続くのでは」と話す。

知事選には他に、無所属新人の元総務省職員、本間奈々氏(53)▽共産新人の元和歌山市議、松坂美知子氏(66)が立候補を届け出た。(前川康二)

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