増税念頭に「幅広い税目で国民負担」政府有識者会議

日米共同訓練でロケット弾の発射準備をする陸上自衛隊の多連装ロケットシステム「MLRS」=10月10日、北海道の矢臼別演習場
日米共同訓練でロケット弾の発射準備をする陸上自衛隊の多連装ロケットシステム「MLRS」=10月10日、北海道の矢臼別演習場

政府は9日、防衛力強化に向けた防衛費のあり方や財源などを話し合う有識者会議(座長・佐々江賢一郎元外務次官)の第3回会合を開いた。これまでの協議を踏まえて示した「議論の整理」では、防衛費増額には恒久財源の確保と国民全体の負担が必要だとする増税論が大勢を占めたことが明らかになった。財務省は「幅広い税目による国民負担が必要」と報告。岸田文雄首相は防衛費の増額とは別に、サイバー防衛など4分野の経費を強化していく方針を示した。

「議論の整理」では、これまでの有識者会議で国債発行に頼らない恒久的財源の確保を求める意見や、国民に当事者意識を持ってもらい、幅広く負担してもらうことが大切だとの指摘が多数示された。財務省は今回、増税を念頭に「負担能力に配慮しながら道筋を付ける」と説明した。年末の来年度予算編成と税制改正までに結論を得る。

一方、政府は研究開発について、閣僚級会合の「総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)」の事務局が加わる関係府省会議を設置し、防衛ニーズに合う事業を選定することを提案。インフラ整備でも関係府省会議を設置し、南西諸島などの重要な空港や港湾の整備方針を協議する。

さらに首相が示した方針では、抑止力強化につながる国際的協力とサイバー防衛を加えた計4経費を「総合的な防衛体制の強化に資する経費」とする。防衛力を補完するものとして、令和6年度から予算を重点配分する方向で検討する。

北大西洋条約機構(NATO)が国防費基準とする国内総生産(GDP)比2%を念頭に対外的に防衛努力を示す場合、防衛費や海上保安庁予算を含む安保関連経費に新たな経費を加えた合計額となる見通しだ。

有識者会議は、今月下旬の次回会合で提言をまとめる方針。政府はこれを、年末に向けた国家安全保障戦略など「安保3文書」の改定に反映させる。

防衛強化に5年48兆円 防衛省積算 現行計画の1・7倍

会員限定記事会員サービス詳細