任天堂、新ハード「言えることない」 スイッチのライフサイクル長期化 

ニンテンドースイッチ有機ELモデル
ニンテンドースイッチ有機ELモデル

任天堂が、発売から6年目となるゲーム機「ニンテンドースイッチ」の製品ライフサイクルの長期化に力を入れている。画面が鮮明な有機ELモデルを投入するなど買い替え需要を促しており、今期の販売台数のうち、2台目以降の購入が約3割を占めているという。一方、9日に開いた経営方針説明会で古川俊太郎社長はスイッチについて、現時点で値上げをする予定はないとの考えを改めて強調した。

この日開かれた説明会で、ファンや市場から期待されている新ハードの発表について開発責任者の塩田興上席執行役員は「現時点で言えることはない」と発言。「任天堂の会員サービスで提供するさまざまな体験が受け止められるハードにすることが大事だ」と述べるにとどめた。

また、国内向けのスイッチ販売は円安により利益が圧迫されているが、古川社長は「値上げをする予定はない」と明言。ただ、現状について「想定を上回る規模と期間で円安が続いており、状況を注視しながら慎重に検討したい」と危機感を示した。

任天堂は令和4年9月中間連結決算で、今年度のスイッチ販売台数の計画を当初計画より200万台少ない1900万台に引き下げた。世界的な半導体不足で8月ごろまで計画どおりの生産ができなかったことが影響しているが、回復傾向にあり、10月からは急ピッチで生産を進めている。

実際、過去1年間でスイッチを起動してゲームをプレーしたユーザー数は、今年9月時点で1億600万と前年から1千万以上増えており、発売初年度の約4・6倍に上る人気だ。

特に9月9日に発売された人気シューティングゲーム「スプラトゥーン3」が1カ月足らずで790万本を販売するなど、ソフトウエアの販売本数は前年同期比1・6%増の9541万本と引き続き堅調に推移している。古川社長は「継続的に新作ゲームを投入することで新規顧客だけでなく、ゲームで遊ばなくなった人も呼び戻すことができている」と話す。

同社は脱炭素への取り組みも強化する。昨年発売したスイッチの有機ELモデルは初期型と比較して消費電力を半分に低減。パッケージのサイズも約18%小型化した。年末からはほかのモデルもパッケージを小型化する予定で、省資源化や輸送コストの削減にもつなげたい考えだ。(桑島浩任)


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