サッカー通信

世界が絶賛するサムライの〝戦闘服〟 未完成の折り紙に込めた思い

新ユニホームの開発を担当したアディダスジャパンの高木将さん。自身もサッカー少年だった=10月25日、東京都港区
新ユニホームの開発を担当したアディダスジャパンの高木将さん。自身もサッカー少年だった=10月25日、東京都港区

20日に開幕するサッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会へ臨む日本代表の〝戦闘服〟が、世界から高評価を受けている。アディダスジャパンが8月、折り紙の展開図を幾何学的に施した新ユニホームを発表すると、海外メディアがこぞって絶賛。開発担当の高木将さん(34)に完成までの道のりを聞いた。

「W杯上陸から20年、青い侍は再び注目を集めた。真の芸術作品だ」。W杯出場全32チームのユニホームをランキング化した英サッカー誌「Four Four Two」は、堂々の1位に選出した日本のホームユニホームに最大の賛辞を贈った。米大手放送局のスポーツサイト「NBCスポーツ」は5位に選び、「アニメにインスパイアされたデザインで、大胆で目立つ」と紹介。上々の反響に高木さんは「世界へのアピールも狙いにしていた。日本代表らしさを感じてもらい、すごくうれしい」とほほ笑む。

コンセプトは「ORIGAMI(折り紙)」。2002年6月30日、W杯日韓大会決勝で横浜・日産スタジアムに舞った270万羽の折り鶴から着想を得たという。今大会の開催地カタールは、1993年に日本があと一歩でW杯切符を逃した〝ドーハの悲劇〟の舞台でもある。今度はカタールを歓喜の地に-との思いから、「われを忘れて叫び、みんなで抱き合って喜び合う。歓喜の瞬間を表現したいと考えたときに、熱狂に包まれた日韓大会がフックになった」と語る。

新ユニホームの開発を担当したアディダスジャパンの高木将さん。自身もサッカー少年だった=10月25日、東京都港区
新ユニホームの開発を担当したアディダスジャパンの高木将さん。自身もサッカー少年だった=10月25日、東京都港区

製作過程ではさまざまな素材の折り紙で鶴などを折り、デザインを模索した。「ユニホームを着た選手がピッチで躍動し、美しい姿を見せてくれたときが完成形」との願いを込め、あえて未完成の展開図を前面にあしらった。スピード感を表現するため、白い線は毛筆で書いたかのように太さに強弱を着けた。日本文化の一つ、漫画の技法から取り入れた。

視聴環境の変化も意識した。テレビだけでなく、スマートフォンやタブレット端末で試合を見る人が増えたことを踏まえ、背番号には視認性の高い黄色を採用した。機能面では前回18年W杯ロシア大会からメッシュ部分を増やし、通気性も高まっているという。

高木さんは学生時代、J1名古屋の下部組織で1学年下の日本代表主将の吉田麻也(シャルケ)らとサッカーに打ち込んだ。選手としての経験も踏まえ、「ユニホームを着るときにスイッチが入る。国のために戦う選手の気持ちを高ぶらせる、これを着たら『勝てる』と思ってもらえるユニホームを作りたいと思っている。新しい景色、新しい歴史を作る一助になれば」と期待を寄せる。

日本はW杯1次リーグで、ドイツ、スペイン、コスタリカと強豪ぞろいの組に入った。幸先のいいスタートを切った〝戦闘服〟の力を借り、日本代表も旋風を巻き起こしてほしい。(運動部 川峯千尋)

サッカー日本代表、新ユニホームは「折り紙」モチーフ

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