農林水産省が国の基幹統計の一部「農業集落調査」の廃止を検討していた問題で、次回センサスを考える同省の「2025年農林業センサス研究会」(座長・安藤光義東京大教授)の第3回会合が8日、対面とオンラインで開かれ、同省統計部は集落調査の一部項目を別の調査に統合して継続する代替案を示した。
統計部はこれまで、集落調査の対象である全国約14万農業集落のうち約5万集落について「個人情報の壁」から当初、集落の精通者が把握できず調査継続が困難だとして、廃止を提案。研究者らから継続を求める声が上がっていた。
代替案は、農林業センサスのうち、寄り合いの回数や議題など集落調査の一部項目について、センサスのもう一本の柱である既存の「農林業経営体調査」の質問に加えることで、継続するとしている。農業経営体は経営耕地面積が30アール以上の農家。統計部によると、調査対象の約14万集落のうち経営体がいるのは約12万集落で、調査対象の約86%をカバーできるという。
集落調査は過去60年間、全数調査で行われてきたことから、研究会の委員のうち明治大の橋口卓也教授は「残りの2万集落はどうするのか」と質問。清水司郎センサス統計室長は「自給的農家(経営耕地面積が30アール未満などの農家)に聞くなどの方法は考えられる」と答えた。
橋口氏が「自給的農家もいない集落はどうするのか。どこかで全数調査を断念せざるを得ないのか」と重ねてただしたところ、清水室長は「自給的農家もいないところは調査の対象から外れると思う」と述べた上で「それでも94・1%くらいはカバーでき、前回同様の統計は作れると考えている」と述べた。
議論の続きは、来月6日の次回研究会で行われる。