「補助対象決まらなくては…」幼保現場に焦り バス安全装置の義務化

児童がバス内に残っていないか目視で確認する保育士=8日午後、大阪市東成区の東成山水学園(土屋宏剛撮影)
児童がバス内に残っていないか目視で確認する保育士=8日午後、大阪市東成区の東成山水学園(土屋宏剛撮影)

福岡県中間市や静岡県牧之原市で、保育園児らが通園バスに置き去りにされ死亡する事件が相次ぎ、バスへの安全装置の設置が来年4月から義務化される。政府は8日、関連経費約234億円を盛り込んだ令和4年度第2次補正予算案を閣議決定したが、どの製品が補助対象になるかは検討中だ。義務化まで半年を切る中、現場は焦りを募らせている。

安全装置の設置は、全国の幼稚園や保育園などの送迎バス約4万4千台を対象に、上限20万円で費用の9割を補助する方向で調整している。ただエンジンが停止すると作動し車内に残された園児をカメラで感知したり、車内後部のボタンが押されなかった場合に警報音を鳴らし車内確認を促したりと仕様はさまざま。国土交通省は製品の仕様を定めるガイドラインについて年内の策定を目指す。

車載部品メーカー「TCI」(大阪市淀川区)は10月の発売以降、園や自治体に約60台分を販売し、問い合わせは今月8日時点で約300件に上る。担当者は「導入した製品の仕様が国で定めた仕様と異なれば、園側に負担がかかる可能性がある」と話す。

私立認可保育園「東成山水学園」(大阪市東成区)では各地で相次ぐ置き去りを受け、園児のバスの利用状況などを記載する確認表を作成。ただ「安全装置を導入したくても仕様が決まらなければ導入できない」(博多敬子園長)と焦りを募らせる。

認可保育所や認定こども園が加入する社会福祉法人「日本保育協会」(東京都千代田区)にも補助金対象の製品などに関する問い合わせが寄せられており、川鍋慎一常務理事は「国は現場の疑問を解消するために情報を整理して発信してほしい」と訴えた。

大阪教育大の小崎恭弘教授(保育学)は、安全装置設置の義務化について「真剣に子供の命を守ろうとする政府の対応は一定評価するが、装置だけでも守れない」と指摘。「装置を使う側の人間に緩みや油断が生じないようにする必要がある。万一の際に子供がクラクションを鳴らして助けを呼ぶ訓練も含め、あらゆる対策や機会を通じて子供の命を守る意識を高めるべきだ」と話した。

会員限定記事会員サービス詳細