農林水産省が国の基幹統計の一部「農業集落調査」の廃止を検討している問題で、同省が廃止の理由に挙げている「個人情報の壁」について、総務省が過去に同様な事例を確認しておらず極めて異例であることが、参議院の農林水産委員会での質疑で分かった。
今月1日に開かれた農水委で、舟山康江氏(国民)が農水省に対し廃止の理由を尋ねたところ、同省統計部の菅家秀人(かんけ・ひでと)部長は「個人情報保護条例の関係で、集落の精通者を把握することが非常に難しくなった」と従来の説明を繰り返した。
舟山氏が総務省に対し、同様な事例の有無を尋ねたところ、同省の北原久官房審議官は「過去の事例の中で、個人情報保護の必要との関係で調査対象の名簿を作成できず、調査が困難になったものは確認していない」と答弁した。
舟山氏は「それなら、何とか継続する手立てはないのか。総務省に聞いたところ、この件について農水省からは一つも相談がないという話だった。統計全体の問題でもあるので、もう少し連携して取り組んでいただきたい」とただした。
菅家部長は「いま先生からお話があったので、総務省とは相談してみたい」と応じた。
8日には、次回センサスを検討する農水省の「2025年農林業センサス研究会」の第3回会合が開かれる。