名画攻撃、欧州の環境デモ暴走 背景に米富豪マネー

「モナリザ」を保護する強化ガラスを拭き取る美術館スタッフ=29日、パリ(@Sara_Algabaのツイッターから=ロイター)
「モナリザ」を保護する強化ガラスを拭き取る美術館スタッフ=29日、パリ(@Sara_Algabaのツイッターから=ロイター)

【パリ=三井美奈】欧州で、環境活動家の暴走が止まらない。美術館でゴッホやモネの名画が相次いで攻撃され、各地で道路や橋が封鎖された。過激な抗議デモは、米国の富豪マネーが支えている。20世紀の「石油王」の孫娘が、スポンサーだと名乗り出た。

パリの国会議事堂前で2日、数十人が座り込み、路面に体を接着剤で固定するデモを行った。メンバーが「変化を起こすぞ」と叫び、警察に引きずられながら連行される様子がインターネットで動画配信された。同様のデモは2日前、付近の高速道でも起きた。活動家が文化遺産の屋根によじ登る騒ぎもあった。

一連のデモは「最後の革新」という環境団体が行った。参加したロバンさん(29)は、「地球は死に瀕している。手荒な手段もやむをえない」と正当化した。メンバーのほとんどを20代の若者が占める。

「最後の革新」は、米国の慈善活動家アイリーン・ゲティ氏(65)の非営利団体「環境緊急基金」が支援する環境ネットワークのひとつ。アイリーン氏は、「世界一の大富豪」と呼ばれたジャン・ポール・ゲティを祖父に持つ。20世紀、サウジアラビアやイラクの油田の開発で巨万の富を築いた人物だ。

アイリーン氏は10月、英紙ガーディアンに寄稿し、ロンドンの美術館でゴッホの「ひまわり」にトマトスープをかけた活動家を「誇りに思う」と称賛した。一族が化石燃料で設けた歴史に触れ、「私は地上の生命を守るために、資産を使うことを誓った」と記した。

環境ネットワークは、今年4月に発足した。地球温暖化対策の遅れを「われわれ若者への裏切り」だと糾弾し、道路や鉄道封鎖など法に抵触するような抗議運動も辞さないと宣言している。現在、米欧やオーストラリアの11団体が参加。「最後の革新」のほか、名画を攻撃した英国やドイツの団体も加わっている。

アイリーン氏は、女優エリザベス・テイラーの息子の元妻で、ダイアナ元英皇太子妃とも交友があったセレブ。同基金には、ケネディ元米大統領の姪も加わっており、今年は合計450万ドル(約6億6千万円)を40以上の団体に提供したとしている。

「最後の革新」のロバンさんは「基金のおかげで、活動はずいぶん助けられている」と述べ、常時40人近いスタッフを確保できると認めた。過激デモの効果もあり、同基金には米欧から寄付金が相次いでいる。

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