電気料金高騰、小売業の利益圧迫 光熱費が増加

ガラス扉が設置されたローソンの冷蔵ショーケース=4日、川崎市川崎区(飯嶋彩希撮影)
ガラス扉が設置されたローソンの冷蔵ショーケース=4日、川崎市川崎区(飯嶋彩希撮影)

ローソンが、電気の使用量を平成25年度比で40%減らした省エネ型の店舗の展開に乗り出した。ウクライナ危機の長期化や急速な円安進行を受けた電気料金の高騰は、スーパーやコンビニエンスストアなど小売業の利益を圧迫する要因となっている。各社は、店舗で節電に取り組むことで電気の使用量を減らしたり、他の経費を抑えたりして、影響度の軽減に努めている。

「負担が重いなというのが正直な実感だ」。関西を中心に百貨店や食品スーパーなどを展開するエイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングの荒木直也社長は今月2日の記者会見で、電気料金高騰についてこう述べた。令和4年度の上半期は連結営業損益が3年ぶりに黒字となったが、光熱費が前年同期より約15億円増加し、利益を下押しした。

小売りでは、生鮮食品や飲料を納める冷凍・冷蔵ケースや照明、空調など、電気を使う設備が店舗内に多くある。電気料金高騰は共通の悩みの種といえる。

食品スーパーを手掛けるライフコーポレーションも上半期は水道光熱費が前年同期より16億円増え、通期では約40億円の増加になると予想する。ファミリーマートは加盟店の水道光熱費の9割を本部が負担しているが、上半期はこうしたエネルギー関連コストが前年同期より約40億円増えた。

水道光熱費は下半期についても高止まりするとの懸念が根強い。「来年に元の水準に戻るかも現段階では分からない」(コンビニ首脳)との声も聞かれる。

各社は、店舗での小まめな消灯や空調温度の調整など、節電を強化。また、人件費や広告宣伝費といった他の経費を効率化することで電気料金高騰の逆風を和らげることにも心を砕く。

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