習氏3期目、「力一辺倒」の限界も 編集委員・西見由章

中国共産党の習近平総書記(国家主席)が慣例を破って3期目続投を果たした。習氏は「中国の広範な人民が偉大な指導者の続投を熱望した」とのストーリーを描いたつもりだろう。ただ実際のところ、10月に開かれた第20回党大会の時点で最高指導者たる習氏の権威には陰りが出ていた。

主な要因は経済の悪化と国際的威信の低下だ。習氏肝いりのゼロコロナ政策と不動産不況、民間企業たたきによって経済は低迷している。1~9月の経済成長率は3・0%にとどまり、通年の成長率目標(5・5%前後)の達成は絶望的だ。7月の都市部の若年層失業率は19・9%と過去最悪の水準に達した。

国際的な対中イメージも習氏の2期目任期で深刻に悪化した。米ピュー・リサーチ・センターが今年実施した調査によると、調査対象19カ国のうち米国など10カ国で、中国の印象を「好ましくない」と回答した割合が過去最高を更新・継続した。トップは日本の87%で、オーストラリア86%、スウェーデン83%、米国82%、韓国80%など先進国を中心に悪化が際立つ。

隠蔽(いんぺい)工作が指摘された新型コロナウイルスへの初期対応や新疆ウイグル自治区・香港での人権弾圧、強引な海洋進出、高圧的な「戦狼外交」などが印象悪化の背景にあるとみられる。

こうした対中世論の悪化は、習指導部も直視せざるを得ないようだ。党大会で採択した習氏による政治報告には「中国の声をしっかりと届け、信頼され、愛され、尊敬される中国のイメージを示していく」との文言が盛り込まれた。それとは正反対のイメージが国際的に拡大していることへの危機感の表れだろう。

その原因が中国自身にあると自覚しているかは怪しい。中国外務省の趙立堅報道官は世論調査に関して「反中勢力は中国に関する多くの虚偽情報をまき散らし、関係国の民衆を著しくミスリードしてきた」と不満を訴えた。対中イメージの悪化は外国による宣伝工作のせいというわけだ。

習氏はこうした内憂外患をよそに、集権化した力で党内の牽制(けんせい)勢力をねじ伏せ、3期目続投のみならず最高指導部人事を自らの側近で固める勝利も収めた。

しかし、外交には相手がおり、経済は国民の自発性が重要だ。習氏の〝力一辺倒〟路線では「困難な時局を乗り越える」(同報告)どころか、状況を一層悪化させかねない。

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