高齢化とともに、世界的課題として深刻さを増す認知症。本人、家族の負担はもとより、患者の増加は社会にも大きな影響を及ぼす。ただ認知症の治療薬開発の道のりは険しく、世界でも多くの事例が頓挫してきた。米国の製薬業界団体、PhRMA(ファルマ)の報告書によると、2017年までの20年間で146の治療薬候補が失敗、成功したのは4例だけだった。
今年9月28日、エーザイは、米バイオジェンと共同開発するアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」について、最終段階の治験(臨床試験)で病状の進行を抑える効果を確認し、2022年度中の日米欧での承認申請を目指すと発表した。
エーザイは1990年代に世界初のアルツハイマー病治療薬を実用化した先駆者。最高経営責任者(CEO)の内藤晴夫は今回の成果が「新たな地平を拓(ひら)くことにつながる」と評した。