北朝鮮の核・ミサイル挑発が深刻化する昨今、米朝協議が実現し、融和ムードが漂っていた2018~19年は遠い昔に感じられる。韓国の外交安保専門誌「韓米ジャーナル」はこのほど、米国のトランプ大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が当時交換した親書27通の全文を公開した。「北朝鮮はチャンスを失いました」(トランプ氏)「閣下、私は本当に気分を害しました」(正恩氏)-。2人は、書簡を通じて互いの指導力を称賛する言葉を並べつつ、交渉の停滞にいらだつ心情もうかがわせた。(肩書は当時)
「親愛なる閣下」
正恩氏が新年の辞で「国家核戦力完成」を宣言し、幕を開けた18年。米朝首脳の親書のやり取りは、ポンペオ米中央情報局(CIA)長官が訪朝、正恩氏と会談した同年4月から始まった。正恩氏がトランプ氏に送った親書は「親愛なる閣下」の書き出しから始まった。