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露軍、ヘルソン市死守の方針か 前線に戦力増強

ロシアが併合を宣言したウクライナ南部ヘルソン州でウクライナ軍の反攻が停滞しつつある。背景には、州都ヘルソンを含むドニエプル川の西岸地域を放棄する可能性が指摘されてきた露軍が、西岸地域でも兵力を増強していることがあるとみられる。露軍はヘルソン市などで市街戦の準備を進めており、同市を死守する方針を固めたもようだ。

ウクライナメディアの26日の報道によると、同国のレズニコフ国防相は米FOXニュースのインタビューに、天候の悪化によりヘルソン州での反攻速度が落ちていると認めた。ウクライナのマリャル国防次官も26日、同州を含む各方面でウクライナ軍が「防御戦闘」を行っていると発表。ただ、それは今後の攻勢再開に向けた過程の一つだと説明した。

一方、同州の親露派勢力幹部は25日、「前線は安定し、強化されている」と主張。防衛に自信を示した。

同州でウクライナ軍はドニエプル川に架かる橋を破壊し、東岸地域と西岸地域を分断。露軍のスロビキン総司令官は18日、西岸地域で露軍が孤立していることを認め、状況次第では「容易ではない決断」も排除しないと表明した。同州の親露派勢力も19日、ヘルソン市などの住民を東岸地域に退避させると発表した。

このため、米シンクタンク「戦争研究所」や英国防省は、露軍が西岸地域の放棄に向けた準備を進めているとの分析を示していた。

ただ、ウクライナ軍は22日、露軍が西岸地域の前線に兵士2000人を配備するとともに、ヘルソン市で市街戦の準備を始めたと指摘。親露派勢力も24日、同市で民兵組織「領土防衛隊」を編成すると発表していた。

ウクライナ南部ヘルソン州で集落を奪還したウクライナ兵ら=7日(ゲッティ=共同)
ウクライナ南部ヘルソン州で集落を奪還したウクライナ兵ら=7日(ゲッティ=共同)

こうした動きについて、ウクライナ国防省のブダノフ情報総局長は24日、「露軍はヘルソン市を放棄しない」と指摘。ウクライナのアレストビッチ大統領府長官顧問も25日、ヘルソン市で「最も激しい戦いが起きる」との見通しを示した。

ヘルソン市は、ロシアが併合を宣言した4州でウクライナ侵略後に制圧した唯一の州都。同市を喪失した場合、プーチン露政権への打撃は必至だ。露軍は同市を死守しつつ、同市が陥落した場合に備え、南部クリミア半島につながるドニエプル川東岸地域に防衛線を構築する戦略だとみられる。

ただ、西岸地域の露軍は孤立を解消できておらず、同市の死守は最大2万5000人とされる部隊を喪失するリスクもはらんでいる。

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