<特報>チケットレスで減る券売機・みどりの窓口「跡地」に悩む

京王井の頭線渋谷駅で券売機があったスペースに設置されたモバイルバッテリーの貸し出しスタンド=17日、東京都渋谷区(浅上あゆみ撮影)
京王井の頭線渋谷駅で券売機があったスペースに設置されたモバイルバッテリーの貸し出しスタンド=17日、東京都渋谷区(浅上あゆみ撮影)

交通系ICカードが普及し、切符を使わないチケットレス化が進む中、鉄道各社が駅の券売機や対面の窓口の数を減らし、空いたスペースを有効活用する取り組みが進んでいる。スマートフォンの充電器を貸し出すスタンドの設置や、テレワークで使えるシェアオフィスを提供するなど、〝跡地〟を活用した新たなサービスも生まれており、コスト削減と利用者の利便性向上につなげたい考えだ。

京王井の頭線渋谷駅アベニュー口改札に今月17日、2台の券売機の横に、スマホなどが充電できるモバイル充電器の貸し出しスタンドが設置された。スタンドが置かれている場所にはもともと券売機が置かれていたが、チケットレス化の流れの中で撤去された1台のスペースに、充電スタンドを代わりに置いた。

京王電鉄が全国約3万5千カ所に充電スタンド「ChargeSPOT(チャージスポット)」を置くベンチャー企業「インフォリッチ」と連携したもので、借りた充電器は同社のスタンドであればどこでも返却できる。令和4年度末までに、京王線・京王井の頭線全69駅にスタンドを順次設置する方針で、乗車の際に充電器を借りて、降車時に返却するといった利用などを想定している。

情報検索や暇つぶしなど、多くの人にとってスマホは電車に乗る上での必需品だ。京王電鉄鉄道営業部の杉浦昌平営業課長は「充電切れの不便さに対応したい」と、充電スタンド設置の狙いを説明する。

ICカードやスマホのモバイル決済の普及により券売機のニーズは低下。同社でもこの10年間で約2割の券売機を削減した。こうした動きは他の鉄道会社でも進んでおり、インフォリッチは他社にも充電スタンドの設置を広げたい考えだ。

海外では日本よりも充電スタンドの利用が一般的な国も多く、秋山広宣社長は水際対策の緩和で期待される「インバウンド(訪日外国人観光客)需要も取り込みたい」と話す。

一方、東急電鉄では対面の定期券売り場の閉鎖を進めている。新型コロナウイルスの影響でテレワークが進み、定期券需要が減ったことに加え、多機能券売機で発行が可能になったため、4年までの2年間で10カ所の売り場を閉鎖した。

昨年7月には田園都市線長津田駅の旧売り場スペースをシェアオフィスに作り替えた。テレワーク需要の増加も追い風に、これまでに約2500人が利用し、人気を集めているという。

JR東日本でも、新幹線や特急列車の切符を対面販売する「みどりの窓口」の削減を進めており、7年までに設置駅を約7割減らす計画だ。窓口が担っていた利用者からの問い合わせや、対面による発券を求める声に対しては、コールセンターとのビデオ通話機能がある「話せる指定席券売機」で対応。空いたスペースには飲食店やコンビニといった商業施設を入れるなど、駅の魅力向上に努めているという。(浅上あゆみ)

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