山際大志郎経済再生担当相(54)は24日夜、首相官邸で岸田文雄首相と面会し、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係が相次いで判明した問題の責任を取って辞表を提出した。昨年10月に発足した岸田政権では初めての事実上の更迭となる。首相は同日、後任の担当相の選定に着手した。
山際氏は辞表提出後、官邸で記者団に「これからの国会審議を考えたとき、このタイミング(での辞任)を逃すわけにはいかないと思った」と辞意の理由を説明した。自身をめぐる旧統一教会問題の説明に関し、「(報道などの)後追いになってしまい、結果として政権に迷惑をかけることになった」と述べた。
政府関係者によると、24日午後に参院予算委員会の質疑を終えた後、首相が山際氏に辞任を促した。
山際氏は岸田政権の発足と同時に経済再生相に就任し、看板政策の「新しい資本主義」や、新型コロナウイルス対応を担ってきた。
8月の内閣改造でも留任したが、旧統一教会関連団体のイベント出席などが相次いで発覚。メディアや野党から新たな接点を指摘され、その都度、本人が認めるという状況が続いていた。今月21日の記者会見では、令和元年に教団トップの韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁と愛知県内で面会していたことを認めた。
野党は今国会で山際氏の辞任を要求し、首相の任命責任を追及していた。報道各社の世論調査でも山際氏の辞任を求める意見が強まっていた。首相は24日の参院予算委で、山際氏の進退をめぐり「予算委で質疑を受けている最中だ。丁寧に答えるのが閣僚の役割だ」と語った。
政府は今国会で、総合経済対策の裏付けとなる令和4年度第2次補正予算案や、旧統一教会の被害者に向けた救済法案などの提出を予定する。首相は24日の山際氏の答弁ぶりも踏まえ、山際氏の問題が長引けば国会審議に遅滞が生じると判断し、閣僚交代で収拾を図ったとみられる。
ただ、他にも複数の閣僚が旧統一教会との接点を認めており、山際氏辞任後も野党の追及は続きそうだ。