円安止まらず 「年内150円台後半」の声も

1ドル=150円台の円相場を示すモニター=20日午後、東京都港区(関勝行撮影)
1ドル=150円台の円相場を示すモニター=20日午後、東京都港区(関勝行撮影)

外国為替市場で円相場の下落が止まらない。一時、節目の1ドル=150円を突破した円安進行の底流には、インフレ抑制のため米連邦準備制度理事会(FRB)が今後も積極的な金融引き締めを続けるとの見方がある。直近では英国のトラス政権の失策もあり、円が売られるケースが増えてきた。円相場は波乱含みの様相を強めている。

1ドル=150円を抜けると、次は1990年4月につけた1ドル=160円台まで大きな節目はない。円相場はしばらく政府・日本銀行による為替介入の可能性をにらみつつ、下値を探る展開が続きそうだ。市場では「年内に150円台後半に行く可能性もある」との声も聞かれる。

日本経済への影響について、みずほ証券の小林俊介チーフエコノミストは「商社や自動車などの一部大企業は(海外事業の円建て収益の増加などで)恩恵を受ける一方、輸入企業や中小企業、家計はコスト負担が重く打撃を受ける。円安メリットを受ける主体は限られ、格差の広がりにつながりかねない」と話す。

賃金改善が進まないなか、原材料高と円安による物価上昇は家計を直撃している。景気へのカンフル剤として「異次元の金融緩和」に依存し、企業の生産性向上や成長分野への人材の円滑な移動といった経済構造の抜本的見直しを怠ったつけは重い。

円安ドル高の直接的な要因は、日米の金融政策の方向性の違いだが、直近では新たな要因として英国の財政悪化懸念が加わった。英国債が売られて利回りが急騰(債券価格は急落)、つられて米長期金利が上昇して日米の金利差が拡大し、円を売って運用に有利なドルを買う動きが強まりやすくなるという構図だ。円安に歯止めをかける要因は当面、見当たらない。(米沢文)

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