(月刊「丸」・昭和48年1月号収載)
海をわたってくる風も冷たく感じるようになったある日、司令部では日米の航空戦力の評価について話し合っていた。機関長、軍医長、それに金銭的なことや食料を担当する主計長、つまりわれわれ三長は、ときどき連合艦隊旗艦長門に来艦する各艦隊長官、司令部などと懇談したり食事を共にする機会がある。
これより先、山下奉文中将(のち大将)を団長とする英独開戦の観戦派遣団が組織され、イギリスとドイツの戦力をみて帰国していた。その報告を聞いたある参謀が、食事の席上この話をもちだしたのである。