「習近平時代」の本当の始まり 東京大東洋文化研究所・松田康博教授

第20回中国共産党大会の活動報告の途中で拍手する習近平総書記=16日、北京の人民大会堂(共同)
第20回中国共産党大会の活動報告の途中で拍手する習近平総書記=16日、北京の人民大会堂(共同)

習近平総書記が行った政治報告は、自身が総書記になった2012年の第18回中国共産党大会以降の10年間を「新時代」だと自画自賛し、今後の方向性を改めて示した形だ。「平和的発展」というキーワードが減少しており、習指導部の国際情勢認識がかなり悪化している印象だ。

祖国統一を目指す台湾政策でも、17年の前回党大会で触れなかった「武力行使を放棄しない」との姿勢に言及した。19年の「台湾同胞に告げる書」に関する演説で触れた内容だが、重要な党大会で改めて台湾独立阻止と統一実現への強い決意を示したといえる。

台湾とは経済、文化交流の努力を続けるとも述べている。中国は8月、台湾周辺で大規模軍事演習を行ったが、本格的な侵攻はまだ考えにくい。当面は「世界一流の軍隊」化を加速させながら硬軟両様の態度を織り交ぜ、将来戦わずして屈服させる「強制的平和統一」を目指すだろう。

党大会は、指導部である政治局に50代前半が何人入るかもポイントだ。3期目入りが確実な習氏が将来的に総書記を退く場合、党大会の年に68歳超なら引退する「七上八下」の不文律に照らし、今回選ばれる50代がポスト習候補となる。

今回、政治局常務委員に入る者が60代ばかりであれば、27年の党大会で4期目入りを見据えた布陣だと解釈できる。「反腐敗」や言論統制で習氏に批判的な勢力は押さえ込んだ。党規約改正で習氏への忠誠を求める「二つの確立」などの内容が入れば、ますます習氏に逆らえない状況が作られる。本当の「習近平時代」はこれから始まるのではないか。(聞き手 桑村朋)

台湾問題 習氏の政治報告から消えた内容

習氏、過去10年の成果を「歴史的勝利」と自賛 党大会開幕、3期目続投も訴え

会員限定記事会員サービス詳細