京セラは11日、夜間や雨天時の車の安全運転を支援する「車載ナイトビジョンシステム」を開発したと発表した。世界初の特殊なヘッドライトと独自の人工知能(AI)による画像認識で物体を検知し、視認性の悪い環境でも衝突などの危険を事前に把握できる。
世界初となる白色光と人の目に見えない近赤外光を同時に照射するヘッドライトを採用。車両のセンサーで撮影した可視光の画像と近赤外光の画像を独自のAIで認識し、合成することで、夜間などの環境で人や物体を高精度で検知できる。さらにAI学習に必要な膨大な近赤外光の画像を可視光画像から生成することで、コスト削減と精度の向上を実現した。
同社によると、夜間の交通事故は昼間と比べて死亡率が2・5倍高く、視認性の悪い環境での車の危険検知の精度向上は長年の課題になっているという。また、自動運転の実現に向け、車の危険検知機能の需要は高まっており、世界の車載ナイトビジョンシステム市場は2020年に約21億7千万ドル(約3160億円)に達している。今後も高い成長率が見込まれることから、同社は27年の市場投入を目標に製品開発を進める。
同社の担当者は「将来的には自動ブレーキや自動運転に活用し、交通事故防止に貢献していきたい」と話した。