来年2月12日まで京都市京セラ美術館新館「東山キューブ」(同市左京区)で開催されている「アンディ・ウォーホル・キョウト」(産経新聞社など主催)の主な作品を5回にわたって紹介してきました。最終回となる第5回は「最後の晩餐」です。
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「最後の晩餐(ばんさん)」は、ルネサンスを代表する芸術家、レオナルド・ダビンチがイタリア・ミラノの修道院に描いた壁画である。
縦294・6センチ、横990・6センチの大作には、その名作をイラスト化したものが取り込まれ、さらに主人公であるイエスがこの作品でも主役であるかのように、画面中央付近で大きく扱われている。
ウォーホルは東方カトリックの家に生まれた。信仰心のあつい母に連れられて日曜日は必ず教会に通った。成人してからも家中のあちこちに十字架を飾り、ポケットにロザリオをしのばせていた。晩年のこの作品からは敬虔(けいけん)なクリスチャンとしての素顔がうかがえる。
本作は現代アートに宗教画を抵抗なく組み込み、軽やかな作品に仕上げられているが、「THE BIG C」の文字はイエスへの呼び名であるとともに、新聞の見出しにとられた「がん治療に効く心構え」であるという。ここには作者の死への恐怖も閉じ込められている。(おわり)
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