来年2月12日まで京都市京セラ美術館新館「東山キューブ」(同市左京区)で開催されている「アンディ・ウォーホル・キョウト」(産経新聞社など主催)の主な作品を5回にわたって紹介します。第4回は「京都(清水寺)」です。
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ウォーホルは生涯で2度、日本を訪れている。最初は1956(昭和31)年、2度目は1974(同49)年。その間の歳月は、彼自身の境遇をがらりと変えてしまった。最初はまだ何者でもない若者に過ぎなかった。しかし、次にやってきたときは、押しも押されもせぬポップアートの旗手になっていたのだ。
この作品は、若き日の彼が、蓄えたお金を使ってプライベートな世界旅行をしたときに立ち寄った日本で、京都を訪れたときにボールペンでスケッチしたもののうちの1枚である。
これは清水寺付近の風景を描いたものだが、ほかにも読経する僧侶たちや街を歩く舞妓(まいこ)、祇園祭の山鉾巡行といった題材を描きとめている。
初めての海外旅行で見るもの全て物珍しく映るはずだが、若いウォーホルはどれも描きたいものを絞り込み、背景を省いている。簡略化することで本質に迫る技法は、商業デザインの仕事で自然に身に付けていったものなのだろう。
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