ロシア外務省が、在ウラジオストク日本総領事館の領事が職務と相容(あいい)れない行動(スパイ活動を意味する)をしたため、48時間以内の国外退去を要請したと9月26日に発表した。ロシアはこの領事をペルソナ・ノン・グラータ(PNG=好ましくない人物)に指定した。
1956年の国交回復後、ソ連時代を含みロシアが日本の外交官をPNGに指定したのは初めてだ。領事は22日にウラジオストク市内で一時拘束され、露連邦保安庁(FSB=秘密警察)の取り調べを受けた。外交官の身体は不可侵権を持ち、いかなる事由があっても拘束、取り調べの対象とならない。ロシアの対応は国際法違反だ。この特権は外交官個人に対してでなく国家に対して付与されている。今回、ロシアは日本国家の権利を侵害したのである。にもかかわらず、外務省の対応は及び腰だ。
《外務省は(9月)29日の自民党外交部会などの合同会議で、ロシア当局がウラジオストク日本総領事館の領事を一時拘束した問題に関し、当時の状況を説明した。拘束は22日午後で、約3時間後に解放されたと明らかにした。外務省は解放直後に抗議したが「領事の安全を確保するため」として公表を見送っていた。日本政府が拘束事案を明かしたのは27日になってから。外務省は「ロシアが発表したため、事案を説明することにした」としている。領事は28日に出国》(9月29日の産経ニュース)