ノーベル賞、各国の「民主化」実現へ背中押す 反体制派たたえた100年超の歴史

ノルウェー・オスロにあるノーベル研究所。ノーベル賞委員会の記者会見が開かれ、平和賞をロシアの人権団体「メモリアル」とウクライナの人権団体「市民自由センター」、ベラルーシの人権活動家ビャリャツキ氏に授与すると発表した=7日(共同)
ノルウェー・オスロにあるノーベル研究所。ノーベル賞委員会の記者会見が開かれ、平和賞をロシアの人権団体「メモリアル」とウクライナの人権団体「市民自由センター」、ベラルーシの人権活動家ビャリャツキ氏に授与すると発表した=7日(共同)

【ロンドン=板東和正】ノーベル賞は100年を超える歴史の中で、人権や民主主義を掲げて体制と対立し、抑圧される民衆の声を届けるために尽力する活動家らに与えられてきた。今回、平和賞にロシアとウクライナ、ベラルーシの人権活動家・団体が選ばれたのも、世界の関心を高めることで、最前線での闘いを後押しする狙いだ。

旧ソ連では「水爆の父」と呼ばれながら後に人権擁護活動に転じて民主化を要求したアンドレイ・サハロフ博士が1975年、平和賞を受賞している。授賞式出席のための出国は許されず、80~86年には西部の閉鎖都市ゴーリキー(現ニジニノブゴロド)に追放された。

平和賞が民主化の後押しとなったのが、80年代末、東欧民主化の先駆けとなったポーランドだ。後に大統領となったレフ・ワレサ氏は共産党独裁体制下で自主管理労組「連帯」を率い、83年に平和賞を受賞。その後、政府との交渉の先頭に立ち、東欧の共産圏で初の自由選挙を導いた。

ノーベル賞委員会の事務局「ノーベル研究所」の元客員研究員、ロジャー・アルフォード氏は論文で、同委が「民主主義は世界平和を追求するために不可欠な手段」との考えに基づいていると解説。ワレサ氏自身も平和賞受賞により「(自身が)ポーランドで歴史的な役割を果たすことが可能になった」と語ったという。

レイスアンデルセン委員長は7日の平和賞発表時、「侵略や戦争とは別の(民主主義などの)価値観を推進する社会の重要性を強調したい」と説明。現在も拘束されているベラルーシの人権活動家、アレシ・ビャリャツキ氏の解放を強く求めた。

民衆を抑圧する体制に対峙する活動をたたえてきた歴史は文学賞にもある。

『収容所群島』で知られるソ連時代の反体制作家で1970年に受賞したアレクサンドル・ソルジェニーツィン氏が代表例だ。74年に国外追放され、スターリン体制の非人間性を告発してソ連解体を提唱した。

旧ソ連圏の名もなき人々の苦痛に満ちた声を記録し、2015年のノーベル文学賞を受賞したベラルーシの作家、スベトラーナ・アレクシエービッチ氏も民主主義を脅かす動きへの抵抗を呼びかけた。20年の同国大統領選を巡る混乱では、選挙の不正を訴える反政権派の運動に加わった。

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