高島屋は免税カウンター 旅行業も水際緩和へ着々

高島屋大阪店は免税カウンターを再開した=7日午後、大阪市中央区(柿平博文撮影)
高島屋大阪店は免税カウンターを再開した=7日午後、大阪市中央区(柿平博文撮影)

新型コロナウイルスの水際対策が11日から大幅に緩和されることを受け、大阪の百貨店や旅行業界などはインバウンド(訪日外国人観光客)の回復に期待を高めている。中国の「ゼロコロナ政策」の影響で、コロナ前の牽引(けんいん)役だった中国人客が戻るめどは立たないが、円安で外国人が買い物しやすくなっており、百貨店では免税カウンターやブランド品拡充などの準備を整えている。旅行会社では東南アジアからの富裕層から予約や問い合わせが急増している。

「円安でブランド品は日本の方が安い。日本はサービスがいいので楽しく買い物ができる」

今月上旬、観光のためタイから日本を訪れ、高島屋大阪店(大阪市中央区)で買い物を済ませた女性(42)は語った。

同店は関西国際空港からのアクセスがよく、「あくまで地元の顧客第一だが、外国人客にも期待している」(広報担当者)。閉鎖していた免税手続きカウンターを9月中旬から再開。外国人に好評の民芸品の食器や家具などの売り場を前面に配置した。

あべのハルカス近鉄本店(同市阿倍野区)では「外国人の志向がコロナ前の化粧品から現在はブランド品に移っている」として、ブランドのバッグや時計などの品ぞろえを充実させている。同店を運営する近鉄百貨店の広報担当者は「個人旅行が解禁され、円安も追い風になって恩恵が大きい」と力を込める。

ただ、慎重な見方も根強い。同店ではコロナ前の免税売り上げの9割が中国人だった。中国では政府が厳格なゼロコロナ政策を堅持しており、「中国人客が戻らなければインバウンドの本格回復とはほど遠い。手放しでは喜べない」と百貨店関係者は口をそろえる。

テーマパークのユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、同市此花区)の広報担当者は「外国人客は徐々に回復するとは思うが、国内や各国・地域の感染事情により入場者数が大きく変動する」と不安をのぞかせる。

一方、いち早く活気づいているのが旅行業界。「思ったより回復が早い」と訪日旅行手配業フリープラス(同市中央区)の中林凛太郎・旅行事業部マネジャーは声を弾ませる。「待ちに待った日本旅行とお金に糸目をつけない旅を求める声が多い」

特に東南アジアからの予約が目立って急増している。1日当たりの入国者数制限が1万人から2万人に引き上げられた6月に比べ、同社ではベトナムからの予約が2~3倍に増えた。富裕層の動きが活発で、インドネシアからは7泊分で約2千万円のホテル予約が年末に入ったという。

宿泊では、帝国ホテル大阪(同市北区)が、国内外の富裕層の受け入れ態勢を強化しようと高価格帯客室専用のラウンジを昨秋に新設。「外資高級ホテルと対抗し、客単価を上げるには付加価値を高めなければならない」(広報担当者)とする。

外国人客数がすぐに「コロナ前」の規模に戻らなくても、円安により客単価を上げることでインバウンド効果を享受できる可能性もふくらんでおり、各業界は「量より質への転換」を求められているようだ。(牛島要平、田村慶子)

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