主張

国語世論調査 漢字を書く力伸ばしたい

読めても書けない漢字が増えたと感じている人は少なくないだろう。

文化庁の令和3年度の国語に関する世論調査でそんな現状が裏付けられた。パソコンやスマートフォンなど、デジタル機器の普及が影響しているのは明らかだ。書く力が衰えてしまっては、教育や文化の未来が心もとない。手で文字を書く大切さを見直し、その力を伸ばしたい。

調査は全国の16歳以上の人を対象に行われ、「国語に関心があるか」との問いに82%が「ある」と回答した。関心がある点については、うち79%が「日常の言葉遣いや話し方」と答え、次いで「敬語の使い方」が49%だった。

興味深いのは、生活の変化とコミュニケーションに関する意識を問うた結果である。「情報機器の普及で言葉や言葉の使い方が影響を受けると思うか」という問いに対し、「思う」と答えた人が全体の9割を超えた。

その影響を尋ねると、「手で字を書くことが減る」「漢字を手で正確に書く力が衰える」とした人がともに89%にのぼった。

漢字は表意文字である。「峠」や「榊」など日本で作られた国字もあるが、ほとんどは古代中国で生まれて日本に伝わり、やがて、ひらがなやカタカナを生んだ。いわば日本文化のプラットフォームだ。勉学だけでなく、日常生活でも漢字の習得は欠かせない。小中学校の授業などで、何度も手で書いて覚えた経験があるだろう。

ところが、パソコンやスマホの普及に伴い、日常から「手書き文化」が消えつつある。読み方を入力すれば、即座に同音異義の漢字が並んで選ぶだけですむからだ。文章を書くスピードも格段に速くなるため、利便性と合理性を求めた自然の結果といえるだろう。

一方、平成22年の文化審議会答申ではすでに、情報機器の利用が今後一段と日常化することを想定した上で、漢字を手で書くことの重要性を指摘している。繰り返し漢字を手書きすることは視覚、触覚、運動感覚などが複合してかかわり、脳が活性化されるとともに、漢字の習得にも大きく寄与するというのだ。手書き自体が大切な文化だという考え方もある。

というわけで、まずははがき1枚、日記1行を書いてみよう。正確な漢字をスマホで確かめる必要に迫られたなら、書く力のリハビリ開始時期と心得たい。

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