SMBC日興「ブロックオファー」を悪用 相場操縦、「不審」検知も取り合わず

SMBC日興証券の相場操縦事件では、特定の銘柄を不正に買い支えたとして、幹部6人のほか、法人としての同社が起訴された。背景にあったのが、取引時間外に大株主からまとまった株を買い取り、投資家に広く転売する「ブロックオファー」と呼ばれる市場外取引だ。証券会社のサービスの一つだが、同社の場合は不正防止の仕組みが十分に整備されていなかった。

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自社資金で買い支え

ブロックオファーとは、取引所が閉まっている時間帯に、証券会社が企業の創業者や機関投資家といった大株主から株をまとめて安く買い取り、幅広い投資家に転売する取引のこと。売買価格は取引日の市場価格を基準に決める。

大株主は保有株を大きく値崩れすることなく処分できる一方、投資家は割安で株を入手できる。仲介する証券会社は差益を得る。SMBC日興は年間数十件を手がけていた。

ただ、大量の株が売りに出されるブロックオファーは株価の下落を招きやすい側面を持つ。対象銘柄の終値が大きく下がれば、大株主が損を被り、取引自体に響く恐れがある。そのため事件では、幹部らが対象銘柄を自社資金で買い支えたとされている。この行為に市場価格を意図的に操作した疑いが持たれている。

「空売り」誘発も

また、同社のブロックオファーは株価下落を見越した投資家の「空売り」を誘発しやすい仕組みだった可能性がある。空売りは、下落が見込まれる株を証券会社などから借りて売却し、値下がり後に同じ株を買い戻して証券会社に返却し、差額分の利益を得る信用取引だ。これが集中すると株価下落が加速しやすい。他社は数日間かけて買い手を募るのに対し、SMBC日興は1日しか置かず、実施日の特定が容易だった。

このほか多くの証券会社はブロックオファーの取引価格が決まる日に、運用部門が市場で対象銘柄を売買することを禁止するといったルールを設けている。しかし、SMBC日興にはこうしたルールはなかった。

また、他の証券会社と異なり、ブロックオファー対象銘柄の自己売買を規制する規定がなかった。疑わしい取引を検知するシステムが反応したにもかかわらず、十分な是正措置が取られないなど、社の管理体制が不十分だった。(米沢文)

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