ウイグル人権侵害の討議否決、インドネシアの沈黙なぜ? 中国が懐柔か

インドネシアのジョコ大統領(ゲッティ=共同)、中国の習近平国家主席
インドネシアのジョコ大統領(ゲッティ=共同)、中国の習近平国家主席

【シンガポール=森浩】国連人権理事会で新疆(しんきょう)ウイグル自治区での人権侵害をめぐる討論の提案をめぐり、世界最大のイスラム教徒の人口を抱えるインドネシアが反対に回った。インドネシアはこれまでもウイグル問題で沈黙を保つ。政界に影響力を持つイスラム教団体への中国の懐柔工作が奏功しているとされる。

インドネシアは中国と経済面での結びつきが強く、中国支援による高速鉄道建設も進む。20カ国・地域(G20)議長国として11月にバリ島で首脳会議が開催され、中国の習近平国家主席が出席する予定だ。会議の円滑な進行のためにも大国である中国の不興を買いたくないとの計算も働く。

米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ、電子版)は2019年の記事で、中国が援助を通じて「イスラム教国からのウイグル問題に対する批判を鈍らせている」と言及。特にインドネシアが工作の「最前線にいる」と指摘した。

WSJが注目したのはイスラム教団体に関連した事例だ。インドネシアで2番目の規模を持つイスラム教団体「ムハマディヤ」は18年、ウイグル人への暴力を問題視し、中国に説明を求める公開書簡を発表した。

中国はその後、宗教関係者を〝説得〟するキャンペーンに力を入れた。指導者や学者を対象とした新疆ウイグル自治区への現地ツアーを行った。また、各団体が実施する慈善事業を支援し、中国留学のために団体メンバーに奨学金の提供もしている。

一連の工作を通じ、各団体の批判のトーンは和らいだという。インドネシア・イスラム大のラクマット助教授(国際関係)は「イスラム教組織の無批判な姿勢が、インドネシアがウイグル問題で沈黙している大きな理由の1つだ」と指摘している。

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