EUと周辺国の「欧州政治共同体」初会合 英国交え

EUのミシェル大統領(ロイター)
EUのミシェル大統領(ロイター)

【パリ=三井美奈】欧州連合(EU)は6日、英国やウクライナなど非加盟国との対話枠組み「欧州政治共同体」創設に向け、初の首脳会合をチェコの首都プラハで開催した。エネルギー問題や安全保障などが課題で、計44カ国が参加。ロシアのウクライナ侵攻で欧州の危機が高まる中、連携の強化を目指す。

ミシェルEU大統領は会合を前に、欧州の平和構築、移民などの課題で協力が必要だと訴え、「44カ国が集まったこと自体、先行きのよいシグナルになった」と意義を強調した。

会合には英国から、トラス首相が参加した。英国のEU離脱後、双方は離脱合意をめぐって対立が続いており、英首相がEU主導の多国間会議に参加するのは初めてとなった。

トラス氏は会合を前に英紙への寄稿で、プーチン露大統領が欧州へのエネルギー供給を削減して「われわれを分断しようとしている」と警鐘を鳴らし、冬の停電を回避するため、供給網に関し欧州諸国の連携が必要だと訴えた。ウクライナのゼレンスキー大統領もオンラインで演説し、「ロシアという侵略者を処罰せねばならない。制裁を強化してほしい」と述べた。

会合参加国は、EUの27加盟国と17非加盟国。ノルウェーやアゼルバイジャンなど産油国も含まれている。エネルギー、安全保障をめぐる討議に続き、二国間協議で移民対策など地域の課題を話し合う。会場のチェコは現在、EUの議長国を務めている。フランスのマクロン大統領は6日、会合を前に、欧州の電力供給で「供給網の連携構築に向け、話し合いたい」と意欲を示した。ガス価格の抑制も課題にあげた。

「欧州政治共同体」は今年5月、マクロン氏が提案した。ロシアの脅威に直面するウクライナやモルドバがEU加盟を強く希望する中、即時加盟は困難だとして、喫緊の課題を扱う枠組みの新設を訴えた。EUが英国を巻き込み、米主導の北大西洋条約機構(NATO)や先進7カ国(G7)の枠外で、欧州安保を協議する場を設けたいという思惑も透けてみえる。

EUは「欧州政治共同体」による首脳会合の定例化を目指しており、仏大統領府高官によると、2度目は半年後をめどにEU域外国で開催したい構え。ただし、ウクライナは、新枠組みをEU加盟先延ばしの口実にされることを警戒しており、英国もEU主導の枠組みには慎重姿勢を崩していない。

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