国民の自衛官 横顔

(9)空自教材整備隊工作隊 大石竜也防衛技官(57) 匠の模型1000台 次代育成

手がけた模型を手に「今後流行する塗装はデジタル迷彩」と語る大石竜也防衛技官
手がけた模型を手に「今後流行する塗装はデジタル迷彩」と語る大石竜也防衛技官

防衛技官として35年間、航空自衛隊の精鋭を育てるためのさまざまな教材を作り続けてきた。「(今回の顕彰は)私一人のものではなくて、周りの皆さんのご理解、ご協力と育ててくれた先輩方の技術の蓄積のたまもの」と語る。

入隊当時は未経験だったが、ゴム製の型枠に樹脂を流し込んで原型を作り、取り出した原型の成形から研磨、塗装に至るまで腕を磨いた。手がけた約1千台の模型の細部に、匠の技が光る。例えば、パイロットの操縦指導に使う戦闘機F35の144分の1スケールには、「欠けやすい尾翼部分を厚くし、虫ピンを入れて強化した」。

空自浜松基地に隣接する浜松広報館「エアーパーク」(浜松市)に置かれた32分の1スケールのF35と、空自目黒基地(東京都目黒区)に展示された10分の1スケールのF35も自身の作品。「あえて金属感があり、研ぎ澄まされたような感じに仕上げた」。極細の金のシールを貼るなど精巧さも追求し、「外注が多い他の展示模型に負けないようにした」と胸を張る。

模型を通じて部隊の士気高揚とともに、空自の活動を知ってもらうのに寄与してきた。「縁の下の力持ち? そうですね。部隊一丸となって作り上げた作品ですから。『作者不明』となりますけど」と控えめだが、次代の教育には力がこもる。「自衛隊は階級社会だから厳格な部分もある。同時に、現場では発想力や伸びやかさが必要だとも思う」(岡田浩明、写真も)

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