地域経済、インバウンドに期待も 円安倒産が増加

日銀の支店長会議に臨む黒田総裁(左から2人目)=6日午前、日銀本店(代表撮影)
日銀の支店長会議に臨む黒田総裁(左から2人目)=6日午前、日銀本店(代表撮影)

「観光産業の比率が高い北海道では、訪日客が戻ってくればメリットが出てくることが期待される」(日本銀行の松野知之札幌支店長)。日銀が地域経済の状況について点検するために6日開催した支店長会議では、今月11日から新型コロナウイルスの水際対策が緩和されることを踏まえ、海外からの宿泊予約の増加などインバウンド(訪日外国人客)消費の拡大を見込む前向きな報告が相次いだ。

岸田文雄首相は3日の所信表明演説で、訪日客の旅行消費額「年間5兆円超」の達成を目指す考えを明らかにし、円安メリットの最大化に意欲的だ。

野村総合研究所の木内登英(たかひで)エグゼクティブ・エコノミストの試算によると、訪日客の需要は令和5年に2・1兆円、6年に4・3兆円、7年に6・6兆円が見込まれるという。コロナ禍前の元年の実績値4・8兆円を上回るのは7年と少し先になりそうだが、インバウンド消費の増加は着実に地域経済を潤す見込みだ。

一方で、円安の進行は内需型の非製造業や価格交渉力の弱い下請け企業にとっては経営の圧迫要因となる。地域経済報告(さくらリポート)では、「一部店舗で看板メニューの値上げに踏み切ったところ、当該店舗の客足の落ち込みが顕著となった」(名古屋・飲食)など、値上げによる客離れを嘆く声も上がった。

東京商工リサーチの調査では、円安影響で9月に5件の倒産が確認された。すべて家電や洋服を取り扱う卸売業だった。1月からの円安関連倒産の累計は12件で、年間件数が2桁となるのは4年ぶりという。

6日夕時点の対ドル円相場は1ドル=144円台後半。昨年末から3割近く下落し、今後も円安基調が続く可能性が高い。

円安は海外客の訪日を促す追い風となるが、地域の中小企業にとって物価高騰の負担感は重い。「(コストの増加を)販売価格にまるまる転嫁できている企業はあまりないのではないか」。浜田秀夫福岡支店長はこう述べ、価格転嫁の遅れが地方経済に悪影響を及ぼすことへの警戒感をあらわにした。(米沢文)

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