令和阿房列車で行こう 鉄道開通150年記念

第一列車 稚内行<6>はるばるきたぜ新函館北斗へ

青函トンネル内を通過する北海道新幹線「はやぶさ」
青函トンネル内を通過する北海道新幹線「はやぶさ」

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一昨日から、「また明日のこころだぁ‼」を締めに使っているが、「『こころ』とは何だ?」という問い合わせを読者の皆さんからいただいた。

確かに説明不足だった。

昭和48年から約40年続いたラジオ番組「小沢昭一の小沢昭一的こころ」(TBSラジオ)の決め台詞(ぜりふ)を使わせていただいた。

この番組は、平日の夕刻、俳優・小沢昭一が一人語りで中年サラリーマンの悲哀を面白おかしく口演したもの。小学生だった私は毎回、ラジオにかじりつくように聴いていた(てっきり、小沢自身の考えや体験を話しているのかと思っていたが、構成作家が練りに練った台本を小沢が、自家薬籠中のものとして演じていたのを後に知る。だから「的」なのである)。

毎回、小沢の話は10分に満たないほど短く、さぁこれから佳境というところで、「また明日のこころだぁ‼」となった。

売り物は小出しにして、明日につなげていく。いっぺんに全部出してしまっては、商売にならない。人生は、「―的こころ」に教えてもらった。

もし、いま就職面接があり、「内田百閒に次いで2番目に尊敬する人は?」と聞かれたら、迷わず「小沢昭一です」と答えるはずだ。

断っておくが、小沢昭一没後は、ニュースとラジオ深夜便を除いて、AM1242ニッポン放送を聴いている。たまに神戸に帰ると、「ありがとう浜村淳です」(MBSラジオ)以外は、OBCだ。本当に。

説明不足といえば、鉄道紀行なのに、路線図を載せていなかった。今日からは、反省して乗った列車ごとに掲載します。決して行数を稼ぐためではありません。

え⁉ 前回の終わりに青函トンネル内で「はやぶさ」が急停車した件はどうなったって?

ご明察の通り、大したことはなく、3分後に無事、出発進行した。それでも3分間はドキドキした。停車した場所は、海の底。前回書いた旧竜飛海底、吉岡海底の両駅(今は定点というらしい)からは地上に脱出できるケーブルカーがある。ただ、ケーブルカーは高齢者や女性優先で、「100キロ近く体重があります」と申告しても無視されるだろう。第一、タイタニック号のように女子供を押しのけて救命ボートに乗った男たちは、110年経(た)っても見下げられている。

ケーブルカーに乗れない場合は、1317段の階段を駆け上がらなければならない。途中で息が切れて絶命するやもしれぬ。

「産経記者、青函トンネルで頓死 肥満と不摂生がたたる」とA新聞に書かれると腹が立つなぁ、と妄想する間もなく、青函トンネルを脱出した。

後で聞いたら、キップをなくして慌てた乗客が、車掌を呼ぼうと、間違えて緊急停止ボタンを押してしまったんだとか。皆さん、気を付けてくださいね。

トンネルを抜けると、北の大地は快晴だった。曇った東京を出てから3時間57分。

はるばるきたぜ、函館へ。いや、新函館北斗へ。

この続きは、また明日のこころだぁ‼(乾正人)

【プロフィル】小沢昭一

おざわ・しょういち 昭和4年、東京都生まれ。平成24年没。早稲田大学第一文学部卒。俳優座俳優養成所に入所し、映画、舞台、ラジオなどでマルチに活躍。劇団「芸能座」を主宰。ラジオ番組「小沢昭一の小沢昭一的こころ」は、放送回数1万回を超える長寿番組だった。

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