主張

入国制限の撤廃 訪日客拡大で景気刺激を

政府が新型コロナウイルスに伴う水際対策を緩和し、1日あたり5万人としてきた入国者数の上限を11日に撤廃する。同時に外国人の個人旅行も解禁し、短期滞在は査証(ビザ)を免除する。

急速に進んだ円安の効果を生かし、日本向けの観光需要を取り込むことで、インバウンド(訪日客)による景気浮揚を目指す。新型コロナ対策と社会経済活動の正常化の両立を図りたい。

先進7カ国(G7)のうち、新型コロナ対策で入国者数を制限しているのは日本だけだ。岸田文雄政権の出遅れは否めないが、挽回するためにも円滑な受け入れ体制を構築する必要がある。

政府のこれまでの水際対策は、外国人観光客はツアー客に限定するなど制限が厳しかった。受け入れ上限を撤廃して個人旅行も解禁することで、岸田首相は「訪日外国人旅行消費額の年間5兆円超の達成を目指す」と意気込む。

事前の手続きに時間がかかるビザ取得は、訪日客拡大の大きな障壁になっている。今回の緩和策では、コロナ禍前に短期滞在ビザを免除されていた国・地域は、元に戻して免除することにした。まだ外国便を受け入れていない地方の空港などもあり、速やかな拡大が欠かせない。

外国為替市場では海外との金利差拡大で、円安が急速に進行している。訪日客にとってみれば、割安な価格で日本を旅行できる好機となる。これをきっかけにして欧米からの訪日客を積極的に呼び込み、地方の観光都市などへの経済波及効果を広げたい。

ただ、異なる新型コロナ株の出現などに備えた準備も怠ってはならないのは当然だ。感染が拡大する場合には、水際対策を迅速に再強化する必要がある。政府は医療提供体制の充実と合わせて対策を講じてほしい。

一方、政府は国内旅行の代金を補助する「全国旅行支援」も11日から始める。これまでの県民割を全国に拡大し、1人1泊8千円を上限に旅行代金の40%を補助し、平日は3千円、休日は千円のクーポン券がつく仕組みだ。

東京都はこの支援制度の開始にあたり、「準備期間が必要だ」として他道府県より遅れて20日から始めることにした。国内旅行の需要喚起策として期待されている制度だけに、万全の準備で利用を促すべきである。

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