国民の自衛官 横顔

(8)空自第5航空団基地業務群 品川清一郎空曹長(44) 輸送のプロ、荒れた道を行く

迅速かつ慎重な運転が信条と語る品川清一郎空曹長
迅速かつ慎重な運転が信条と語る品川清一郎空曹長

空自隊員でありながら、地上で物資を輸送する「運び屋」一筋で約25年。四輪駆動車や大型トラックだけでなく、牽引(けんいん)車両を含む特殊車両のほぼ全ての車種を操縦する「輸送のプロ」だ。対象は航空機部品を含めた物資全般のほか、前線で活躍する隊員たちの輸送など多岐にわたる。

「部品が足りなければ、どんな高性能の航空機も飛び立てない。小さな部品であっても責任の重さに大小はない」。防衛運転を心にとめ、現在も継続する無事故走行は21万キロを誇る。

現在所属する第5航空団基地業務群のある宮崎県で生まれ育った。高校時代から車全般が好きで、トラック運転手にあこがれた。偶然目にした、カンボジアで活躍する国連平和維持活動(PKO)の映像に感銘を受け、19歳で入隊した。

輸送技術を貪欲に学び、平成14年に中東イスラエルに派遣されたPKOのゴラン高原派遣輸送隊では、装輪操縦手として奮闘。派遣中に行われた各国対抗の車両操縦競技会では、四駆車両部門で準優勝するほど腕前をあげた。

23年の東日本大震災では埼玉・入間(いるま)基地から被災各地を駆け回り、生活支援物資をピストン輸送した。「地震で高速道路が分断されていたので、荒れた道のりを15時間ぶっ通しで運転したことも」と述懐。「どんな状況に置かれても最善を尽くす」が信条だ。

妻と子供4人の6人家族。子供に部活動の送迎を頼まれる「輸送サービス」もしばしばだという。(植木芳和)

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