世界文化遺産の仁徳天皇陵古墳(堺市、墳丘長486メートル)に平成30年と昨年、本格的な発掘調査のメスが入った。水をたたえた周濠(しゅうごう)と2重の堤に囲まれた国内最大の前方後円墳。研究者から「なぜいきなり掘るのか」との声も上がったが、墳丘は大きく崩れ、周濠の水による浸食が進んでいた。「今、誰かが手をつけないといけなかった」。宮内庁陵墓調査官を今春退職した徳田誠志・関西大客員教授(60)は語る。保全整備は十年単位ともいわれる巨大プロジェクト。天皇陵の中の天皇陵ともいえる歴史遺産を未来に残すため、果敢な挑戦が始まっている。
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