APIR白書 関西らしく実用的・ユニークな分析も

令和4年版の「関西経済白書」は、「台湾と中国が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に加盟した場合の関西経済に及ぼす影響」と題したコラムなど、関西に拠点を置く研究機関ならではの実用的でユニークな分析をふんだんに盛り込んだ。


コラムでは、昨年9月に中国と台湾がTPP加盟を申請したことを受け、「関西の産業に与える影響について論じたものは少ない。分析結果は関西企業にとって将来の経済環境の変化を考えるうえでの有益な判断材料となろう」と指摘している。

中国が加盟した場合、関西から中国への輸出の関税額は1436億円(2・9%)、輸入の関税額は910億円(1・8%)それぞれ削減される。一方、台湾が加盟した場合、関西から台湾への輸出の関税額は249億円(1・2%)、輸入の関税額は53億円(0・6%)それぞれ削減される-と分析した。

コラムは「輸出で(関西の)得られる効果は、輸入で中国と台湾に与える効果を上回る」と指摘した。

TPPの新規加盟には参加11カ国の同意が必要だ。中国が台湾の参加に反対するのは確実で、仮に中国が先に加盟すれば、台湾が加盟できなくなる恐れもある。関税削減効果は中国の方が大きいが、TPPには、データの自由な流通や国有企業への補助金の禁止、強制労働の禁止など中国が受け入れがたいルールがあり、コラムでも「中国は加入交渉で例外規定の適用を要求する可能性が高い」と警鐘を鳴らす。

このため、中国の加盟を許した場合、アジア太平洋地域で自国に有利な貿易ルールを押し付けられるなどTPPが骨抜きになるリスクを抱えるが、コラムではそこまでは踏み込めなかった。(藤原章裕)

会員限定記事会員サービス詳細